鉢植えクリスマスローズの夏の管理 -休眠期でも放置は禁止-

クリスマスローズは、庭や軒先などの様々な場所に地植えすることができ、かつ比較的丈夫な植物のため、手が掛からないイメージがあります。

勿論、鉢植えでも十分楽しむことできるのですが、個人的には鉢植えの方が少し手間がかかるというイメージがあります。

夏の間は休眠期になり、成長がほとんど止まっているような状態になりますが、この時期には放置状態になってしまうことが多いのではないかと…。

しかし、夏の時期にもある程度のお手入れと管理をしてあげることが必要ではないかと毎年感じるところがあり、この記事にその内容をまとめることにしました。


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まず最初に私の失敗談から

鉢植えのクリスマスローズについて、夏にも管理をしっかりと行おうと思ったきっかけが、2年前の8月に起こりました。

クリスマスローズは、花壇に地植えにしているので初めての栽培では無かったのですが、玄関先でもクリスマスローズを楽しみたいと思い、その年の冬に鉢植えのクリスマスローズを用意しました。

まだ若い苗だったので、春先には数輪の花が咲く程度でしたが、地植えと同じように管理して夏を迎えることになりました。

地植えのクリスマスローズは、基本的に放置状態だったので、鉢植えのクリスマスローズもその程度で大丈夫だろうと思い、軒先に置いたままにしていました。

夏は休眠期だし、そんなに水も欲さないだろう…クリスマスローズは薔薇よりは害虫に狙われにくいし大丈夫だろう…というい勝手な思い込みをして…。

すると、その運命の8月、放置していた鉢植えのクリスマスローズの葉が黄色く枯れ落ち、株自体が枯れてしまっていました。今でも覚えていますが、ショックでしたね…。

原因は、ハダニが付いてしまっていたことと水切れでした。

クリスマスローズにハダニが付くというイメージが無かったのですが、隣に置いてあった薔薇の鉢植えにもハダニが付いており、被害が蔓延している状態でした。

それに加えて、水やりをしていなかったこともあり、株自体が知らないうちに弱っていたのでした。

地植えの場合には、夕立も降ったりするので、その水分で夏を越していたのですが、鉢植えの場合には水の供給が立たれるので、休眠期と言えど乾燥し過ぎで残念な結果になったんですね…。

まぁ、単純に考えれば、私の怠けが生んだ失敗なのですが…。

その一件が起きてから、鉢植えのクリスマスローズには夏の適切な管理も必要だと考えなおして、日々の管理をするようになりました。

夏の鉢植えクリスマスローズの管理で注意していること

上で紹介した失敗談を機に、夏の鉢植えクリスマスローズは、以下の点を注意して管理するようにしています。園芸を主に見されている方からすれば当たり前の内容でもあるのですが、一応チェックポイントとして紹介させていただきます。

鉢植えを置く場所について

基本的にクリスマスローズは、日本の暑い夏にも耐える植物です。

夏は休眠期ですが、外気が35℃以上、地表付近が40℃近い場所でも耐え抜いてくれます。そのため、直射日光自体を絶対に避けなければならないということは無いと思います。

クリスマスローズの教科書には「夏は明るい日陰で管理」ということが書かれていますが、地植えのクリスマスローズは夏の太陽が照り付ける状態でも耐え抜いて、冬には花を咲かせるので、直射日光に当てたらいけないということは無いと考えています。理想を言えば、明るい日陰なのかもしれませんが…。

ただし、地植えと鉢植えで異なるのは、花壇の土の中に比べて鉢植えの方が鉢内部の温度が上がりやすいということですね。特に鉢の色が黒や茶色のものは熱を吸収するので、地植えのクリスマスローズよりも過酷な環境に置かれていることは確かです。

そのため、鉢植えクリスマスローズの夏の最適な置き場所は「午前は日光に当たっても良く、午後は西日が当たらない場所」と言うことになるのではないかと思います。

夏の暑い日差しを朝から晩までずっと避けるのではなく、午後の気温が高い時間のケアをしてあげれば十分ではないかと。

梅雨明けに少し葉の整理を実施

クリスマスローズは、冬から初夏にかけて大量に新しい葉を出します。

下の写真は、2019年11月に苗を鉢植えにした「マリア」という名前のクリスマスローズですが、一冬越して7月になると右の写真の様に大量の葉が出てきます。

これでも春の時期に葉を整理していたのですが、この状態なので放置していたらさらに葉が多い状態だったかと想像できます。

この状態で放置しておくと、私の失敗談にあるハダニや害虫に直結する可能性があるので、葉の整理が欠かせないと思っています。絶対に必要か?と言われると、絶対ではないかと思いますが、好ましくはやっておくべき管理の一つかと考えています。

2020年7月の株元をチェックしてみると、下の写真の様に、成長がストップしてしまっている葉や、蕾が上がってきたのに春に咲き切らなかったような花芽もみられます。

このような中途半端な葉や蕾は、夏の暑い時期に残っていても何の得もない部分になるので除去してしまいます。

実際に、葉の整理をした前後での写真を次の写真で紹介しますが、葉が混み合った状態だったものを一部剪定してあげることで、葉と葉の間にすき間ができ、風通しが良い状態になっているかと思います。また、葉と葉が重なり合わないことで、葉全体に光が当たり好ましい状況に改善できているかと。

ハダニ被害のチェックは忘れずに

クリスマスローズって、ハダニが発生しにくい植物だと思っていました。

実際に、地植えのクリスマスローズもハダニが大量に発生して困ったことが一度もありません。

しかし、上で紹介した私の失敗談の中にあるように、薔薇などのハダニが発生しやすい植物の近くにあると、その影響を受けてハダニが発生することがあります。

そのため、春先から秋までのハダニの活動期には、なるべく鉢を持って葉の裏を確認してあげることが必要かと思います。ハダニは数日で大量に増殖するので、先手を打っての対策が最も重要になります。

私も薔薇の栽培でハダニには本当に困らされた経験があるので、皆様もお気を付けください。

肥料は与えず水やりは適切に

私がやってしまったことですが、クリスマスローズの休眠期とはいえ、適度な水やりは必要です。

休眠期だからと言って水やりを手抜きするのではなく、土が乾いて来たら与えるようにしてくださいね。

クリスマスローズは水切れを起こし始めると、葉から萎れてきますので、水切れのサインは他の植物同様にわかりやすいと思います。

水切れを起こすと来年の開花シーズンにも影響が出る可能性があるので、水やりの管理に気を遣っておいて損は無いです。

また、肥料については夏の間は与えていません。秋になって活動が始まる前までは、肥料なしで水やりだけの管理になります。


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クリスマスローズは直射日光が苦手という先入観について

私も園芸を始めたことに持っていた先入観ですが「クリスマスローズは強い直射日光が苦手」というイメージがありませんか?

「クリスマスローズは夏には日陰、冬は太陽の当たる落葉樹の下が一番適した環境」という記載も見たことがあります。

でも、そんなこと言ったら、クリスマスローズに対する敷居が高くなりますし、実際に日陰では無い場所でも栽培可能な植物なんですよね。

そもそも、クリスマスローズの原産地であるヨーロッパでは、アルプスなどの高い山岳地帯があり、その標高の高い岩場や草原のような場所にも自生するくらいの植物なんですよね。

私が数年前にドイツに出張に行ったとき、街中を散策していたのですが、公園の開けた場所にクリスマスローズが自生していました。原産地のヨーロッパではそこまで気を遣って育てていないような感じがあり、クリスマスローズに対する先入観が一気に変わった時でもありました。

つまり、原種に近いようなクリスマスローズは実際には太陽光が好きな植物なんだと思います。

ただ、少し耐陰性も強い植物なので、狭く密度の高い日本の住宅事情の中では日陰でも育つ=日光が嫌いというイメージが付いたのではないかと思います。

もしかしたら、品種改良されたクリスマスローズは日光が苦手なのかもしれませんが、私はちょっと詳しくわからないので言及を避けておこうかと思います。

鉢植えクリスマスローズは夏は観葉植物として利用可能

夏のクリスマスローズは花が咲いていないので、基本的に鉢植えのクリスマスローズは目立たない場所で管理されている方が多いのではないでしょうか?

しかし、クリスマスローズは落葉樹のように休眠期に葉が無くなるわけでは無く、年間を通じて葉が青々としていることが特徴です。

これは「花が咲いていなくて楽しめない」のではなく「夏も緑の状態を楽しめる」という逆転の発想も持つべきで、言い換えれば観葉植物的に玄関先に置くことも可能だと思っています。

花が無いのでコガネムシや蛾などの密を吸いに来る昆虫が近寄りませんので、玄関先にクリスマスローズの緑の葉を置いておくのも良いかと思っています。

クリスマスローズは葉の形も独特なので、パキラやモンステラと同様に観葉植物としての利用もできるのではないでしょうか!?

特に葉を楽しむという観点では、クリスマスローズの中でも原種系の品種がお勧めです。原種系のクリスマスローズは、上で紹介した「マリア」という品種の様に葉が深い緑色をしており、葉の大きさも巨大化しないです。近年品種改良されたクリスマスローズは、葉が非常に大きくなり色も黄緑色をしているので観葉植物的な扱いは難しくなることもあるかと思いますが、原種に近い品種はそのような心配は無いかと思います。


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この記事のまとめ

この記事では、鉢植えのクリスマスローズについて、夏の間の管理のポイントを私の失敗談を交えながらご紹介させていただきました。

クリスマスローズは夏は休眠しているので管理を怠るのではなく、夏には夏の重要な管理があると捉えて、秋の育成期そして冬の開花を待ってみてはいかがでしょうか?

鉢植えのクリスマスローズは移動も楽ですし、花を楽しむだけではなく、観葉植物などの用途にも利用可能だと思います。

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