つる薔薇やクレマチスなどは、構造物や家の壁面に誘引して楽しむことができる植物になります。木立性の花木や、地植えの草花に比べて、構造物に巻き付けることができるという点で、園芸の楽しみや仕立て方の楽しみを広げてくれます。
しかし、壁面に誘引するとなると、家の壁面にワイヤーを張ることが必要になりますし、アーチの様な大きな構造物は置ける場所も制限されてしまいます。
そのため、壁面誘引やアーチは導入に少し躊躇してしまう誘引方法になるかと思います。
この記事で紹介するオベリスク スリムについては、直径が30cm程度の円筒状の構造物になるため、玄関前の限られた場所や、ベランダにも設置が可能です。組み立て方も簡単ですし、大きさも選べるので、誰でも敷居低く導入ができます。
オベリスク スリムとは?
オベリスク スリムは、和歌山県に本社のある株式会社タカショーさんが販売する、比較的胴回りの小さな (スリムな) オベリスクです。
オベリスクというと、比較的大きな庭や薔薇園に設置されるような大きな製品を想像される方が多いかと思いますが、オベリスク スリムは直径が約23cmとコンパクトで、高さも200cmのものと165cmのものがラインナップされています。
育てる植物の成長具合によって使い分けることができ、直径23cmと幅が小さいので、10号鉢にも使うことができる優れものです。
私の家の様に、庭は無いけれどオベリスクでつる薔薇を楽しみたという方の願いを叶えた商品だと思います。
また、オベリスク スリムは組み立て式の商品のため、使用しなくなったら分解して保存することもできるので、使用時の省スペースだけではなく、片付け後も省スペースに貢献してくれる商品です。
廃棄の際にも自治体の定める大きさに適合しやすいと思います。
我が家での使用用途
我が家では玄関前のスペースに10号バチにオベリスク スリムを立てて、人気品種の薔薇である「ルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサール」を栽培しています。
私自身、広い庭を所有していないのでつる薔薇の栽培はあきらめていたのですが、10号鉢でオベリスク スリムを使うことでつる薔薇のルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールを栽培することに成功しました。
10号鉢ですので直径約30cmの鉢になります。そのスペースでオベリスクを立ててつる薔薇を育てられるというのは、このブログの目指すべきところである小さなスペースでの薔薇栽培に合致していると言えるかと思います。
少し縦長過ぎて見にくい写真ですが、下の写真に示すように、つる薔薇を誘引して使っています。
オベリスク スリムを使用して分かったこと
ここからは、実際にオベリスク スリムを使用して分かった点やこの記事を読んでいる皆様に覚えておいて欲しいことをまとめておきたいと思います。
剛直なつる薔薇には使用をお勧めしません
まず最初に、剛直なつる薔薇に対しては使用しない方が良いです。
ルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールという剛直な薔薇に使用している私が言えることではないのですが、オベリスク スリムはそこまで強度がありせん。
組み立て式のオベリスクであるため、ねじ止めする部分が多いこともあり、強度はそこまで強くないです。
そのため、かなり剛直なつるを持つ薔薇に使用すると、オベリスクの形が変形してしまいます。実際に、私のルージュ・ピエールについては、つるが太く長く固いため、オベリスクの形を曲げるような力があります。
また、垂直に立てたとしても、誘引することでオベリスクが傾くような状態です。
したがって、大輪の花を咲かせるようなつる薔薇、およびつるが太く長く伸びるような薔薇には使用を控えたほうが良いのかもしれません。
ただし、オベリスク スリム以上にスリムなオベリスクはありませんので、つるの誘引を上手く制御しながら巻き付けることで少し剛直なつるばらも栽培は可能です。
あまりにもつる薔薇のつるの力が強いようであれば、つる薔薇を剪定することでオベリスクの変形を防ぐことができると思います。
錆が出るので錆止めスプレー必須
次の注意点は錆止めです。
オベリスク スリムの良い点は価格の面にもあります。他のオベリスクよりも安価で入手ができるのですが、錆止めなどの処理が不十分であることは否めません。
錆が出ることを想定して、私は購入した時に錆止めのスプレーを同時に購入しておりました。
オベリスク スリムを組み立て終わった後、スプレー式の錆止めを満遍なく吹きかけてから使用しました。
その結果、錆が出てくることは無く、綺麗な状態を維持することが出来ています。
オベリスクはどうしても外に設置するアイテムになるので、錆止めは必須の作業だと思います。
もし錆止めが無ければ、透明なスプレーで保護しても良いかと思います。
ただし、経年劣化によりねじ止め部分や接合部分に錆が少し出てしまうことは防ぐことが難しいと思います。私のオベリスク スリムもねじ止めの部分に錆止めが不十分だったこともあり、固定ねじの部分に錆が見受けられています。
まぁ、薔薇が健全に育てばオベリスクの姿は隠れてしまうのですが、冬場は丸見えになりますし、錆びは無い方が良いですからね。
鉢に使用する場合には最低でも10号鉢
オベリスク スリムは直径が23cmと、非常にスリムなので鉢植えに対してオベリスクを立てることも可能です。
鉢の大きさは開口部の大きさで何号鉢かが決まってきますが、23cmの直径が鉢底まで確保できるサイズとなると10号鉢以上になります。
そのため、鉢植えでオベリスク スリムを利用する時には最低でも10号鉢を用意しておきましょう!
耐久度 (強度・色褪せ等) について
私の家では、今回紹介しているオベリスク スリムを利用して約2年半くらいになりますが、強度の面ではつる薔薇に負けるところはあるものの、製品自体が破壊されたり弱くなるようなことは見受けられていません。
つる薔薇のつるに形を少し曲げられ絵も、つるの誘引を解除すれば元の形に戻っています。
また、屋外に置く製品は色褪せが気になるところではありますが、今のところ目立った色褪せは確認されていません。購入当初よりも少し黒色が薄れて灰色になったように見える部分はありますが、直射日光に当たる製品では避けては通れない道です。
とはいえ、色褪せ具合はそこまで気になるものではないので、気にすることは無いと個人的には思います。
クレマチスや小輪のつる薔薇に最適
この記事の結論として、オベリスク スリムを適用するのは大輪の薔薇ではなく、クレマチスや小輪の薔薇が良いのではないかと思います。
勿論、ピエール・ドゥ・ロンサールのようなつるの固く大きな薔薇にも使えなくなはいですが、やはりつる薔薇の力に負けることは否めません。
クレマチスは枝が非常に細く、金属製のオベリスクを曲げるようなことはありません。また、小輪系の薔薇であればオベリスクの強度の方が勝るため、オベリスクを曲げてしまうような力はかからないものと思います。
玄関先や狭いスペースに置くことができるオベリスクとしてオベリスク スリムは人気のガーデンアイテムですが、適切なパートナーとなる植物を見極めることも、美しくオベリスク仕立てを仕上げるのに必要な技術なのかと思います。