「クラリス」という名前を聞くと、ルパン三世のカリオストロの城を思い浮かべてしまうのは、私だけでしょうか?
そのイメージがとても強いので、クラリスと言う名前を聞くと、とても清楚な女性を思い浮かべてしまいます。
つる薔薇の「クラリス」は、まさにそんな清楚なイメージにぴったりな薔薇です。
花は中輪で淡いクリーム色で中心部がピンク色に染まり、葉のサイズも小さめでとても美しい緑色をした葉ですので、花が咲いていない時期も、花壇を美しく演出してくれる薔薇です。
また、枝もとてもしなやかで誘引も比較的容易なので、白系のつる薔薇を様々な構造物や樹木に誘引したいという方にはおススメの薔薇です!
この記事では、そんなクラリスを育ててわかった特徴や、栽培のポイントなどを御紹介したいと思います。
半つる性の薔薇「クラリス」
クラリスの概要
クラリスは比較的新しい薔薇で、2018年にドイツのTantauによって発表された四季咲き性の半つる性の薔薇 (シュラブローズ) となっております。
花の大きさは中輪で、シュートや花枝の先に3~5輪が房咲きになります。
花の香りは、ほとんどありませんので、薔薇の香りを目当てで品種選びをされる方にはお勧めできないです。
開花期は四季咲きですが、我が家の栽培方法では年間を通じて、4回くらい花期を迎えます。私は、夏には摘心しているので本当は5回咲かせるのかもしれません。
我が家にお迎えしたクラリス
2019年の春に、大阪の枚方 (ひらかた) にある京阪園芸さんに薔薇の苗を購入に行ったときに、新苗で我が家にお迎えしました。
新苗での購入だったので最初は6号鉢で育てていました。しかし、ベーサルシュートが元気よく伸びてきたので、8月の暑い時期に、玄関前のレイランディという木の株元に近い位置に地植えにしました。
地植えにした後も、ベーサルシュートが伸び、最初の1年目からとても樹勢が強い薔薇だと感じさせられたのを今でも覚えています。
2年目の1番花の季節には、合計で花芽が15本くらい出てきて、大量に花を咲かせてくれました。中輪と言うこともあるかと思いますが、これだけ咲くととても豪華な花壇を演出してくれます。
木に巻き付けるという仕立て方もできるくらい、しなやかな枝を持つ薔薇です。女性の力でも誘引作業に困ることは無いかと思います。
クラリスは扱いやすい「つる薔薇」です
クラリスの樹形は「半つる性」とあるのですが、実際に育ててみると、どちらかと言うと「つる性」に近いです。半つる性と記載があるのですが、個人的にはつる薔薇に思えます。
新苗で迎えた時には底まで長くシュートを伸ばすことは無かったのですが、1年目の秋くらいから花枝がどんどん長くなり、花が咲くと花の自重で枝が垂れ下がり支えが必要になる状態でした。
冬にレイランディの木に巻き付けて、レイランディに花が咲いたかのような仕様に仕立てていますが、枝の柔らかさで誘引も無理なく行えます。冬の誘引の時期には、少し無理に曲げても折れてしまうようなことは無かったです。(無理に曲げてはいけませんが…。)
ただし、一つだけデメリットを挙げると、棘が多いですね。枝にも棘が多いですが、葉の裏などにも見えないような小さい棘があるので、お世話の時にはグローブ必須です。少し棘も細いので、ゴム手袋は貫通してきます…。
下の写真は、クラリスをレイランディの木に巻き付けている様子の写真です。少しわかりにくいですが、木の周りにグルっと一周させて、花数を多くするような仕立て方になっています。
また、上の写真でクラリスの葉の形や色を見ていただきたいとのですが、葉の形や色がとても美しいです。花の咲いていない時期でも花壇でとても映える色をしています。個人的には、この葉の形と色が好きです。薔薇は他の草花と比べても、葉の美しさの観点でも素晴らしいとつくずく思わされます。
クラリスの花も色と大きさが季節で異なる
薔薇の花は、同じ株でも咲く季節で色や大きさが異なるものが多いです。
このクラリスもその傾向が強い薔薇であると思います。
下の写真に2020年の1番花と2番花の写真を載せていますが、左の1番花は淡いクリーム色に中心が薄いピンクになる花になりますが、夏の2番花についてはピンク色が中心に出てきません。
夏のクラリスも咲き進むと中心にピンク色が出てくるかと思いましたが、全く出て来ず、クリーム色の薔薇で終わります。
また、秋になると少しだけピンク色が回復してきますが、それでも春の一番花のような色にはなりません。
したがって、薔薇の苗のタグやインターネットで紹介されている、淡いクリーム色とピンク色のクラリスは、基本的に春の1番花でしか出会えない花になるのだと思います。
また、花の大きさと言う観点でも2番花は1番花に比べて一回り小さいです。
1番花は直径で7cmか8cm位になりますが、2番花は頑張って開いても5cmか6cmくらいの大きさです。気温が高い中で育つ蕾は、じっくりと育たないので大きさも小さくなりますね。
次の写真は、晩秋に咲いたクラリスの花です。春や夏の花に比べて、また違った表情で咲いてくれています。ピンクと言うよりも、薄いオレンジ色という印象が強くなります。晩秋に咲いたので株全体の蕾の数は少なく、養分をたくさん使いながらじっくりと育ったことで、花のサイズも春以上のものとなっています。
クラリスの耐病性と害虫について
現代の薔薇が新品種として発表される第一条件は、耐病性が高いことだと言われています。病気に弱いというイメージが強い薔薇だからこそ、現代の薔薇は耐病性への要求がどんどん高くなっているのですね。
クラリスはどうでしょうか?
私の栽培条件下でのことですが、実は黒星病もうどんこ病も一度も発症していません。もちろん、定期的な薬剤散布はしております。
薬剤散布しても病気が出てくる薔薇も多いので、きちんと薬剤散布することで病気が抑えられるという点では、耐病性は高い方であると言えるかと思います。
ただし、耐病性はあっても害虫による被害はあるので、オルトランなどの害虫駆除の薬は必ず必要かと思います。特定の虫に狙われるようなことはありませんでしたが、葉も多いのでハダニなどにも注意が必要です。適宜、葉の除去をして風通しの改善は行っています。
ベーサルシュートとサイドシュートの長さ
株元から元気よく出てくるベーサルシュートですが、クラリスの場合には特に処理をせず放っておくと大体1mから1.3mくらい伸びています。
そのベーサルシュートから出てくるサイドシュートは、春の1番花の時で概ね60cm位になります。
ですので、そこまで巨大化するような薔薇ではありません。
また、上で紹介したように、つる自体はしなやかで扱いやすいので、オベリスクやトレリスなど、様々なものに誘引可能なシュートを出してくれます。
ベーサルシュートが出やすい時期ですが、我が家では2019年は1番花が終わった6月から7月くらいに多く発生してきました。ただ、今年 (2020年) は、7月の段階でまだ1本も出ていません…。出てくれないかなぁ…と願うばかりです。
クラリスを栽培して2年経ち花の香りに変化が (2021年5月追記)
2019年の春にクラリスをお迎えし、2021年5年には栽培開始から2年が経ちました。
2年も経つと株が充実し、凄い数の花を咲かせてくれています。
そして、株の成長と充実ぶりが香りの変化としても現れてきました。
栽培当初や1年目は、クラリスが咲いてもほとんど香りがしなかったのですが、2年目の春の開花時には甘い香りが漂うようになりました。
強香とまではいきませんが、鼻を花に近づけると独特な甘い薔薇の香りがしっかりと発せられていることがわかります。
クラリスを栽培されている方は、最初の年や株が充実していない時は香りが無いかもしれません。しかし、私の経験から、株がしっかりと育つと香りがするようになるかもしれません!
クラリスの記事の最後に
この記事では、半つる性の薔薇「クラリス」を実際に栽培してわかった特徴などを詳細に御紹介させていただきました。
クラリスは半つる性と言われていますが、どちらかと言うとつる薔薇に近い性質があります。そして、しなやかで誘引が比較的容易な枝の先に、清楚な白い中輪の薔薇が房咲きになります。そのため、様々な構造物や樹木、家の外壁などに誘引ができるとても扱いやすい薔薇です。
また、耐病性も高く、ある程度の薬剤散布での保護をすれば黒星病やうどんこ病は気にすることが無いと思います。ただし、葉が多いのでハダニの抑制のために、葉の整理や枝の整理は推奨します。
白系統の中輪の薔薇をお考えの方は「クラリス」をお迎えしてみてはいかがでしょうか?