ルージュ・ピエール (つる薔薇) の夏剪定で気を付けていること

つる薔薇と言うと「とても長いつるを伸ばして成長する勢いのある薔薇」と言うイメージがあります。

特に有名なつる薔薇の「ピエール・ドゥ・ロンサール」もとても太い枝を伸ばし、年に一度だけ春に満開の素晴らしい花を咲かせてくれます。

しかし、10号鉢程度の小さな鉢で育てているつる薔薇は、地植えのつる薔薇に比べて、やはり株の樹勢が弱いように思えます。鉢と言う限られた土の中に根を張らなければいけないことや、養分の量も地植えに比べて少なくなる傾向にあることが原因だと思います。

そのせいもあってか、私の育てている鉢植えのつる薔薇は、2年目や3年目を迎えた枝は、新芽の芽吹きがあまり良くなかったりします。また、夏の終わりには枝に生命力が感じられなくなる部分も出てくることがあります。

この記事では、私のブログにも何度も登場してもらっている鉢植えのつる薔薇 (オベリスク仕立てのルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサール) について、夏剪定の時に気を付けていることを御紹介できればと思います。私の経験則ですが、他のつる薔薇にも応用できるところはあるかもしれません。ただ、今回の内容は御参考程度にとどめていただけましたら幸いです。


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鉢植えのつる薔薇の樹勢について

春の薔薇の開花シーズン、薔薇園に足を運ぶと構造物に誘引された見事な薔薇が訪問者を迎えてくれます。

そんなつる薔薇を見ると、こんな素晴らしいつる薔薇を家にも育ててみたいと思う方も多くいらっしゃるかと思います。

しかしながら、私の様に限られたスペースでしか薔薇を育てることが出来ない者にとっては、それはかなり夢の様な世界の話です。

実際、有名な薔薇園のローズフェスタに行くと、自分の家にあるつる薔薇とは比べ物にならないくらい大きく育ったつる薔薇があります。すでに木質化した枝や丈夫な株元を持ち、そこから元気なベーサルシュートやサイドシュートが出てきているのを見ると「本当に見事」としか言葉が出ないくらいです。

私の家でつる薔薇を大きく育てられないのは、つる薔薇を大きく育てられるスペースが無く、鉢植えで育てざるを得ないという条件があるためです…。

つる薔薇を大きく育てるためには、やはり第一条件として地植えにして自然環境に近い状態で根を育てていく必要があると思います。今回紹介するルージュ・ピエール以外にもつる薔薇を鉢植えで育てていますが、薔薇園の様な木質化した立派な薔薇に育つことがありません。

やはり、鉢植えという限られた狭い空間で根を育てているため、地植えに比べて根が広くしっかりと成長できませんし、地中から得られる栄養分も限られた状態であることが主要因かと思います。

そのため、地植えと鉢植えのつる薔薇では、枝の出方や枝の太さにも確実に差が出てくると思います。もし、つる薔薇を立派に育てたければ、20号鉢位の大きな鉢植えが前提になるでしょう。

以前、京阪園芸さんに足を運んだ時のことですが、アーチ仕立ての立派なルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールの鉢植えが飾られていたのを覚えています。その鉢の大きさはとても大きく、70cm四方くらいある大きな四角形の鉢でした。つる薔薇を立派に育てるには、育成環境が本当に大事だと感じた一場面でした。

冬選定も意識した夏剪定を心掛ける

つる薔薇の中には、四季咲きのつる薔薇として販売されているものもありますが、私の個人的な経験として、四季咲きとして売られているつる薔薇は返り咲き性の性質を持った品種が多いように思います。

日本で最も有名なピエール・ドゥ・ロンサールの様に、つる薔薇には一季咲きの品種も多くありますが、本当に四季咲き性の強いつる薔薇はどのような品種があるのでしょうか?返り咲き性の強いつる薔薇はいくつも知っていますが…もし四季咲き性の強い開花頻度の高いつる薔薇があれば、コメント欄で教えていただけましたら幸いです。

そのため、つる薔薇の場合、夏剪定の次に本格的な剪定を行うのは冬の剪定になります。したがって、夏剪定の段階では、冬剪定の時にどのように剪定するか?という点も想像しながら剪定を進めていくべきかと毎年考えています。

夏剪定の時に深く剪定しすぎると、冬に剪定する際に良い芽の位置が無くなってしまいますし、逆に夏剪定を浅くすると秋に立派な花が咲かないこともありますので、四季咲き木立性の薔薇よりも剪定が難しく思えます。

来年の春の開花までイメージするのは難しいですが、少なくとも冬にどの位置で剪定するかくらいは考えておくべきかと思います。


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私の実践しているつる薔薇の夏剪定方法

それでは、ここからはオベリスクに誘引しているルージュ・ピエールを例に取り、夏剪定の時にどのようなに枝を切っていくかを紹介したいと思います。

私が良かれと思って行っている方法なので間違いがあるかもしれませんが、一例として紹介させていただきます。

ちなみに下の写真が、剪定を行う前のルージュ・ピエールの株姿です。

株の高い位置にある元気な枝の剪定

株の高い位置にある枝は、どのように剪定しても秋には薔薇を咲かせます。

薔薇には頂芽優勢という性質があるため、頂点に近い枝ほど栄養をたくさんもられるので、高い位置の枝は放っておいても咲いてくれます。

そのため、高い位置にある枝は、深く考えることなく剪定できる枝たちです。

例えば、下の写真の様に、1番から4番までの4つの葉を残す夏剪定を行うことで、4つの成長点を残すことができます。この場合、1番と2番の成長点から秋の新芽が伸びはじめると容易に想像できます。そして、冬剪定の時には点線で示す位置で剪定を行えば、来年の春に3番と4番の成長点を使うことができると予想できます。

このように冬の剪定の事も考えて夏剪定をすると、冬剪定の時に切る位置に迷く事が無くなり、冬剪定が楽になります。

高い位置にある枝はどんなに失敗しても元気な新芽を出して花を咲かせてくれるので、冬剪定の位置を考えつつ、誘引の方法やスペースと相談して切る位置を決めればOKだと思います。

株の高い位置にある枝の夏剪定について、もう一つ例を下に示します。これも同じく、1番から4番までの4つの発芽点を残した剪定をしています。1番と2番の発芽点から秋の新芽が伸び、2番と3番の発芽点の中間で冬選定を進めていくことになるかと予想しています。

良い新芽の見えない枝は思い切って剪定

剪定を進めていくと、剪定に困る枝も多く存在します。例えば、下の写真に示すような枝です。

太さはしっかりとあるのですが、どこにも良い新芽が無いという枝です。

このような枝は、既に花を咲かせる役目が終わっていて、次に出てくる枝もブラインドや出開きになる可能性が高いです。

実際、写真の左側にある葉と枝はブラインドとなってしまった枝で、枝の長さも短く枝も細いため、これ以上は蕾の形成が望めないような枝です。

そのため、このような元気のない枝は、夏剪定の時点で切り落としてしまうようにしています。もしかしたら蕾を付けるような枝が出てくるのかもしれませんが、それよりも別の枝に養分を送ってもらいたいので、切り落としてっしまうようにしています。

ブラインドは枝が短い場合には除去する対象にする

つる薔薇の枝には、枝先に蕾が付かずブラインド状態になってしまうものも多くあります。

そんなブラインドとなった枝は、ある程度長さがあれば途中で剪定して次の新芽に蕾の形成を期待できるのですが、下の写真にあるような枝の長さの短いブラインドはどうしようもないというのが私の意見です。

そのため、このような短いブラインドの枝は、点線の位置で剪定してしまい、養分がこの枝に回らないようにしています。

夏剪定前後のルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールの比較

ここからは、剪定前後のルージュ・ピエールを画像で比較してみたいと思います。

剪定前後の外観としては、そこまで大きな変化はないと思いますが、このルージュ・ピエールは夏に体調が回復しなかった株でもあるので、そこまでがっつりと夏剪定をすることを避けました。

基本的に、上で紹介している夏剪定の方法を基にして剪定したものとなります。

ベーサルシュートが2本出てきていますが、この2本が来年の開花を担う大事な枝になってくれます。秋の台風シーズンに、折れてしまわないようにしっかりと管理をしていきたいですね。


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この記事の終わりに

この記事では、鉢植えで栽培しているつる薔薇について、冬剪定も見据えた夏剪定の方法、および夏剪定の時に注意すべき点について御紹介をさせていただきました。

鉢植えのつる薔薇は地植えのつる薔薇よりも樹勢が弱い所があり、枝の数や枝の太さなどは地植えに負けてしまいます。

しかし、剪定の方法を少し工夫すれば、少ない枝でも毎年花をたくさん楽しむことが出来るようになります。

毎年、最適な夏剪定の方法に悩まされる鉢植えのつる薔薇ですが、切り過ぎないことと大胆さという相反することを両立するような剪定をすることが必要なのかな?と考えさせられます。

「今年はどんな秋薔薇を咲かせてくれるのか?」

剪定をしながら、そんな未来の事を楽しめるのも薔薇栽培の良いところなのかもしれません。

この記事が100記事目の投稿です

この記事とは直接関係がありませんが、本記事の投稿で本ブログは100記事目の投稿となります。

ここまでブログを続けて来れたのも、記事を読んで下さる読者の皆様がいるお陰だと、日々の執筆活動で感じております。

今後も、薔薇や園芸に関して有益な情報を発信できるように努力していきますので、本ブログを今後もよろしくお願い致します。

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