胡蝶蘭を育てている方の多くは、根を水苔で撒いて小さめの鉢で栽培されているケースが多いかと思います。
しかし、水苔は培養土とは少し勝手が違うため、交換の時期やメンテナンスなどが分かりにくいことがお悩みの一つかと…。
一般的な培養土を用いた鉢植え植物であれば1年か2年に一回の交換で済ませる方が多いかと思いますが、蘭の水苔はどのくらいの頻度で交換されていますか?
この記事では、胡蝶蘭の水苔の交換方法や、根の処理などを詳しく紹介していきたいと思います。
本記事で水苔を交換する胡蝶蘭の鉢植え
この記事で水苔の交換作業を紹介する胡蝶蘭は、下の写真にある2鉢の胡蝶蘭です。
ミディ胡蝶蘭と言う品種で、一般的な大きな胡蝶蘭に比べて少し株の大きさや花の大きさが小さい品種のものになります。基本的に胡蝶蘭は、大きさや品種に関わらず、同じ様に水苔の交換ができます。
左側の鉢の胡蝶蘭は、葉の大きさが少し小さく、生育が少し悪いと感じることがありました。
右側の鉢の胡蝶蘭は、特に大きな問題はなく育成している株です。
胡蝶蘭の水苔を交換するタイミング
水苔を交換するタイミングは、正直なところ、栽培されている方の意見で分かれるところがあります。
1年経ったら交換するという方もいれば、白いカビが生えてきたら交換するという方もいます。また、胡蝶蘭が成長して、水苔の上に出ている部分が大きくなったらリフレッシュのために水苔を交換するという意見もあります。
今回の私の場合は、株が大きく成長してきたことが一つ目の理由。そして、2つ目の理由が、上で得紹介した写真の胡蝶蘭の左側のものは、少し生育が悪いように思えたので、胡蝶蘭が元気を取り戻してくれないかと期待して水苔を交換することにしました。
成長して上物が大きくなってくると、鉢植えの中でバランスが悪くなり、株が倒れてきてしまうようなこともあるので、それを防ぐ意味でも交換のタイミングを見計らっていた経緯もあります。
基本的には、1年に1度くらい、株の状態を見ながら水苔の交換をしてあげれば、全く問題無いと思います。
また、交換をする季節としては、最適期は春の花が終わる時期ですね。つまり、6月の後半から7月初旬位です。私は7月の終わり頃に行ったのですが、少し遅かったようにも思えます。
植え替え・水苔の交換は、少なからず胡蝶蘭の根を切ってしまう作業になるので、冬の間の育成が悪い時期などに行うと枯れ込んでしまうこともあるので、理想的には梅雨明けの7月後半くらいまでに実施することが望ましいです。
胡蝶蘭の植え替えに用意する道具について
胡蝶蘭の植え替えに必要なものは、以下のものです。
① 水苔を交換する胡蝶蘭の株
② 新しい水苔
③ ハサミ (できれば殺菌済みの状態)
④ ピンセット (推奨)
ハサミについては、できれば消毒液で消毒を済ませて下さい。葉や根を切ることになるので、雑菌がいると病気の原因になってしまいます。
また、胡蝶蘭の根から古い水苔を除去するのに細かい作業となるので、ピンセットがあると便利です。
さらに、胡蝶蘭の鉢植えの水苔は、出来れば濡らしておく方が作業がしやすいです。水苔は乾燥しているとボロボロと細かいゴミが飛び散るので、適度に濡らしておいた方が作業性が良いですし、最後の掃除も楽になります。
掃除と言う観点では、作業をするときは大きなビニール袋を下に敷いて作業すると、床の汚れを気にすることなく作業できます。
室内の方が屋外よりも作業しやすいですよ。特に細かい作業は、目で見やすいですし、外だと夏の時期は蚊などの虫も気になるので…。
実際の水苔交換 (植え替え) 作業を紹介
① 古い水苔を除去して鉢から株を取り出す
まずは、ピンセットを用いて上の部分から古い水苔を除去していきます。
古い根で茶色く変色してしまっているものは、根の整理の時にハサミで切り落とすのであまり気にせず掘り起こしてしまいます。
ただし、緑色で元気な根はなるべく傷つけないように注意します。
② 根の状態を確認して古い根を切り落とす
上の写真が、古い水苔を除去したばかりの状態ですが、かなり長い根が繋がっていることがわかります。しかし、この長い根はじつは所々切れており、根としての性能が十分に確保できていないような状態でした。
また、この株は上で記載したように、元気がないとわかっていた株だったのですが、根の数・密度が非常に少ないこともわかりました。
そのため、茶色に変色している元気が無い根は全て除去して、新しい根が生えてくることを期待することとしました。
比較のために、もう一つの問題無く育成していた胡蝶蘭の株の根も次の写真に載せておきます。上の写真が古い水苔を除去したところの写真、下の写真が根を整理した後の写真です。
上で紹介した調子が悪い胡蝶蘭よりも根の数・密度が多いことがわかります。
こちらの胡蝶蘭は葉の大きさも大きかったので、根の大きさや密度が株の状態に直結していることがわかりますね。
胡蝶蘭の根ですが、育成が旺盛の時期については、相当元気が無かったり枯れかけてしまった株を除いて、多少傷ついたり切り落としても特に大きな問題はありません。
根が少なくなれば、新しい根が伸びてくることを促進できますし、心配性になり過ぎず、大胆に行うことも実は胡蝶蘭の水苔交換のポイントだと思います。
また、根の整理のついでに、黄色く変色しているような葉があれば、切り落としてしまいましょう。残しておいても光合成や成長に役立つ葉ではないので、残しておいて腐ってしまうよりは切り落とした方が良いです。
③ 新しい水苔を根に撒いて鉢植えに
根の整理も終わったら、根に新しい水苔を巻き付けて鉢に植えこみます。
鉢に植えてから水苔を撒くのではなく、あらかじめ水苔を根に巻き付けてから鉢に植えて、その隙間に水苔を詰めていくという要領になります。
胡蝶蘭の成長は下の図に示すように、株自体は上に向かって葉を展開させながら成長して、新しい葉の付け根から新しい根が出てきます。そのため、植え付ける際には、かなり水苔を詰め込んでしまってOKです。
水苔を詰め込んだ方が根と水苔の密着性も上がりますし、株自体が鉢の中で安定してくれます。押し込みすぎて根が切れたり傷つくのが心配…と思われるかもしれませんが、不安定な方が問題なので水苔はしっかりと押し込んであげて下さいね。
胡蝶蘭の水苔交換(植え替え)のまとめ
この記事では、胡蝶蘭の水苔の交換 (植え替え) の方法について、各種ポイントを含めて紹介をさせていただきました。
胡蝶蘭と聞くと少し敷居が高い植物の様に思えますが、実はかなり強い植物で、根を多少切られたりしても、問題無く成長を続けてくれる丈夫な蘭です。
水苔の交換時期については、少し考えに個人差があるところはありますが、1年に1度、6月くらいに行ってあげれば全く問題無いと思います。(2年くらい水苔の交換をしない方もいるくらいなので…)
ただし、胡蝶蘭が成長して不安定になったりした場合には、なるべく早めに水苔の交換を行い、株が安定するように改善してあげることがをお勧めします。
真冬を除けば、植え替えが原因で胡蝶蘭が枯れてしまうこともほとんどないので、恐れずに実施してみて下さいね。もしかしたら、水苔の交換と根の整理をするだけで生育が大きく改善するかもしれません。