ミニ薔薇の冬剪定方法 -成長を見据えた剪定-

薔薇栽培の中で最も重要と言えるお世話の一つが「冬剪定」になります。

前年の春から秋にかけて伸びた枝やベーサルシュートを剪定して、次の春以降も綺麗な樹形を保ち、新しい枝を元気に伸ばしてもらうために必須の作業です。

冬剪定は大輪の花を咲かせる品種の薔薇だけでは無く、株の比較的小さなミニ薔薇にも必要な作業になります。

ミニ薔薇は挿し木苗が小さなビニールポットで販売されていますが、上手に育てると立派な株に育ちます。そして、何よりもミニ薔薇は樹勢が強い品種が多く、枝の数やベーサルシュート、そしてサイドシュートなどの太い枝の数も多くなる特徴もあります。

そのため、冬剪定はミニ薔薇の栽培にも重要な作業になります。私自身、ミニ薔薇の冬剪定は、かなりしっかりと剪定を行うようにしています。

この記事では、私がミニ薔薇の冬剪定で心掛けている方法や注意点などを紹介できればと思います。今回は、下の写真のミニ薔薇達をばっさりと剪定していこうと思います。


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ミニ薔薇の冬剪定はしっかりと切り戻す

まず最初に、ミニ薔薇の冬剪定も、しっかりと切り戻すことが大切な理由について、簡単にですが記載させていただきます。

ミニ薔薇の成長力は非常に強い

ミニ薔薇のイメージと言うと、小さなポットに植え付けられた挿し木苗を想像される方が多いかと思います。

とても細い枝に、小さいながらもしっかりとした薔薇の花を咲かせてくれる、園芸品種として人気の高い植物です。

そんなミニ薔薇ですが、薔薇の仲間ですので挿し木苗であっても大きく育ちます。

下の記事でミニ薔薇を大きく育てたことを記事にしていますが、株姿を見るとポット売りされているミニ薔薇とは思えないと思います。

上のリンクで紹介しているミニ薔薇も、小さなポットの苗でした。それを丹精込めて育てた結果、本当に立派な株になりました。ミニ薔薇の成長力・樹勢はとても強いものがあります。

そのため、剪定をせずに放置しておくと、枝がどんどん伸びてしまいます。そのため、剪定しない場合には樹形が悪くなるだけではなく、長く伸びた細い枝には花が咲きにくくなるので開花性も悪くなるというデメリットがあります。

冬の剪定に限らず、ミニ薔薇の花後の剪定も重要なお世話になってくるのは、その理由があるからです。

特に冬の剪定は、ミニ薔薇が休眠状態ということを考えると、一気に切り戻すチャンスになるので必ず実施したいお世話になります。

葉が混み合うことを防止 -病害虫の防止-

上で記載の通り、ミニ薔薇は樹勢が強いため、春から秋にかけては次々に新しい枝を出します。

根元から芽吹くベーサルシュートだけでは無く、サイドシュートや枝の途中で分岐したところからも次々と枝が出てきます。

そして、その新しく発生した枝には、必ず新しい葉が形成されます。そのため、放置しておくと葉が混みあってしまい、様々な弊害が生まれてきます。

私の育てているミニ薔薇で、葉が多くなりすぎたことで起こった弊害はハダニの大発生でした。下のリンクでも紹介していますが、2020年の1番花の後に株をリセットするという事態になりました。

これは私の管理不足が大きな原因ですが、少し視点を変えると、ミニ薔薇の枝や葉の多さも根本的な原因になっています。

そのため、休眠期である冬の間に、枝をしっかりと整理してあげて、春以降に枝や葉が混み合いすぎない状況を作っておくことが重要になります。

枝の数が多いミニ薔薇だからこそ、普通の薔薇以上に冬剪定は気を遣いたいところです。

ベーサルシュートの冬剪定について

ミニ薔薇も株が立派になるとベーサルシュートをたくさん出してくれます。

特に1番花が終わる頃になると、株元から1度に何本ものベーサルシュートが出てくることがあります。

そんなベーサルシュートですが、新しい枝ということもあり、剪定で切ってしまうのを躊躇う方も多いと思います。

しかし、ベーサルシュートの様な勢いのある太い枝だからこそ、しっかりと切り戻して、春には太い枝を下の方から出してもらう事が大切なポイントだと思います。

例えば、下の写真の黄色い矢印がある枝は、前年の夏に発生したベーサルシュートです。皆さんならどの位置で切りますか?

私の場合ですが、本当に株元に近い位置で切ります。ちょうど剪定バサミも見えているかと思いますが、その位置で切るようにします。

次の写真も前年に発生したベーサルシュートですが、剪定バサミで示している根元に近い位置で切り落とします。

前年に発生したベーサルシュートは、次の年も元気に育つ若い枝になります。

そのため、放置しておくと、枝の先端部分だけが育ち、頭でっかちの状態になってしまいます。そうなると、強風でベーサルシュートが折れてしまう危険性も出てきます。そのため、ベーサルシュートの剪定は、なるべく株元で切るように心掛けています。

上の写真の位置で切ると、次の春には太い枝が株元付近から出てくることになるので、重心も低く安定した枝に育ってくれます。

また、この花壇ですが、そこまで大きな花壇では無いので、ミニ薔薇と言えども小さくコンパクトに育てなければなりません。その観点もあり、冬の剪定ではしっかりと切り戻すようにしています。


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1つの発芽点から分岐したポイントの冬剪定

次のポイントですが、ミニ薔薇には下の写真の様に、一つの発芽点からいくつもの枝が分岐しているような場所がありませんか?

これはまさにミニ薔薇の樹勢の強さを物語っている場面だと…いつも感じます。

ミニ薔薇は枝が多いので芽かきによって枝の数を制限するのですが、全ての新芽を芽かきで制御できるわけでは無いので、上の写真の様な場所が出来てしまいます。

ただ、一本の枝に対して1箇所から複数の枝が出てくると、かなり重心が高い位置にくるため、これ以上枝が増えると枝が強風で折れてしまう危険性が出てきます。

また、これだけ込み合った場所があると、春以降に葉の密度が高くなることは間違いないので、冬の間にこのような部分は切り落としてしまいます。

ミニ薔薇の冬剪定の手順

上で紹介した、ベーサルシュートの切る位置と枝の込み合った場所の剪定にを基本にして、以下で実際の剪定の手順を紹介します。

いきなり根元に近い所から剪定すると失敗する原因にもなるので、手順①②に示すように、細い枝から整理をして太い枝の整理に入ると良いと思います。

手順① 不要な細い枝を全て剪定する

まず最初に、不要な細い枝を全て剪定していきます。

ミニ薔薇なので花のサイズは小さいです。ミニ薔薇は一般的に、割りばし程度の枝の太さがあれば花を咲かせることができると言われています。

しかし、春以降には枝が混み合うようになることは間違いないので、割りばし程度の枝も全て除去してしまいます。

また、枯れ込んで茶色く変色しているような枝があれば、それらも全て切り落としてしまいます。

この作業だけでも、かなり株がスッキリしたように思えます。しかし、これだけでは終わりません。まだ、メインとなる太い枝のベーサルシュートやサイドシュートが残っています。

手順② 芽の向きを考えて太い枝を切る

さて、細い枝の処理が終わったら、ここからは新芽の向きを考えながら仕上げを行います。

新芽は冬の時期は、枝の所々に赤く膨らんでいる部分があるので、目視で確認ができます。そして、その新芽の位置からまっすぐ上に向かって伸びるので、春先の株の姿をイメージしながら剪定を進めることができます。

上でも記載の通り、ミニ薔薇は春以降に新しい枝をどんどん発生させるので、ある程度短く切っても大丈夫です。

今回の例でも最終的には下の写真の様に、かなり深く切り込んで剪定を終了しました。どの枝も10cmから15cmくらいしか枝が残っていません。

剪定前後での株姿の比較

それでは最後に、剪定前の株姿と剪定後の株姿を比較してみたいと思います。

次の写真で、上が剪定前、下が剪定後になります。

剪定前は立派なミニ薔薇の株でしたが、剪定後は本当にスッキリした状態です。

「ちょっと切り過ぎではないですか?」と言われそうですが、毎年このくらい切り込んであげても、春以降は葉の数が増えすぎて困るくらいになります。

また、細い枝がたくさん残っていると、養分が分散してしまい、ブラインドや出開きの状態になることが多々あります。特にミニ薔薇は枝が多すぎるので、ブラインドや出開きの数が多い傾向に思えます。ブラインドや出開きは花を咲かせる能力が無い新芽になるので、枝数を制限して発生を抑制することが望ましいです。

枝の数、そして発芽点の数を制限すれば、養分が分散することなく、立派なミニ薔薇を咲かせてくれるようになります。


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この記事の終わりに

この記事では、ミニ薔薇の冬剪定について、私が注意している事や気にしながら行っている内容を紹介させていただきました。

薔薇の冬剪定は、人それぞれの方法があるかと思いますが、ミニ薔薇のように樹勢の強い品種の場合には、しっかりと剪定してあげることが重要だと思います。

春以降には必ず元気の良い枝をぐんぐん伸ばしてくれるので、あらかじめ冬の段階で切っておかないと、暴れるように新しい枝が発生してしまいます。

深く切り込む剪定は、少し怖い気もするのですが、薔薇は丈夫な植物ですし冬にしかできない作業でもあるので、怖がらずに切ってあげることが必要です。

いつもあまり冬剪定をしていない方は、一度思い切って少し深く剪定してみてはいかがでしょうか?

今回剪定したミニ薔薇については、また春の開花の時に、株の姿を紹介したいと思っています。

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