夏の家庭菜園の定番野菜の一つは…誰もが認めるであろう「トマト」です。
4月中旬から園芸店に苗が並び始め、毎年恒例の様に育てている方も多いかと思います。
トマトは実の大きさで「ミニトマト」「中玉トマト」「大玉トマト」と分かれますが、やはりトマトの大きさが大きくなるにつれて、栽培の難易度が上がります。
ミニトマトは小学校の教材にもなるくらい手軽に育てられますが、大玉トマトになると支柱への誘引作業やトマトの実が割れないように管理すること等の難易度が上がってきます。そのため、大玉トマトは栽培の敷居が少し高いと感じる方も多いのかと思います。
「ミニトマトでは物足りない!」「少し食べ応えのあるトマトが栽培したい」と言う方にお勧めなのが中玉トマトです。
中玉トマトの栽培難易度は、ミニトマトより少し上がるくらいですが、大玉トマトに比べるとかなり楽に育てる事が出来ます。
また、中玉トマトにはミニトマトの様に鈴なりに実らせる品種も多くあることから、育て甲斐のあるトマトの品種であると言えるかと思います。
この記事では、中玉トマトの人気品種「スィートトマト」を例に取り、中玉トマトの栽培方法の実例を紹介します。植え付けや栽培の工夫などもお伝えできればと思います。
今回栽培する中玉トマトはスィートトマト
今回栽培するトマトですが、中玉トマトの中では有名品種の「スィートトマト」になります。
大型のホームセンターなどでも苗を取り扱っており、甘さと実りの多さが自慢の品種ですね!
5月頃から店頭に並び始めますが、時間が経つとその成長力で大きな苗になってしまうので、もし栽培される場合には早めに苗を入手することをお勧めします。
苗が成長してしまうと、誘引の作業が少しやりにくくなるので、苗が小さなうちから育てることをお勧めします。
植え付ける際の工夫について -誘引しやすくする方法-
苗を購入したら、まず最初に大きな鉢へと植え替えを行いましょう!
中玉トマトも根をしっかりと張るので、10号鉢くらいあると安心です。
植付けの際に、中玉トマトの誘引を楽にするポイントがあるので、下でその詳細を紹介します。
鉢の中央では無く隅に植えること
まず最初にトマトの苗を植え付ける場所ですが、鉢の中央ではなく隅の方に植え付けます。
下の写真を参照してください。
中央に植え付けてしまうと、最初の支柱への誘因の際に、内側から外側へ向けて誘引しなければならなくなります。その誘引方法ですと、苗の茎に少し強い力が加わってしまうため、茎が折れてしまう原因にもなります。
トマトの誘引は、茎が折れてしまうというトラブルが付き物でもあるので、なるべく無理な力がかからないような誘引方法が求められます。
そのための一つの手助けとして、鉢の外側に植え付けて、早めに支柱へ誘引するという方法がお勧めです。
株を斜めにして植えること
また、苗を植え付ける際には、苗を直立に植えるのでは無く、斜めに傾けて植え付けることも誘引を楽にする一つのポイントとなります。
上で紹介した写真では、苗が約45°くらい傾いていることが分かるかと思います。
この様に植え付けることで、最初に支柱に誘引する際に、無理な力が苗に加わらず、支柱へ茎を縛り付けるのが楽になります。
また、茎が成長していく過程でも、苗が斜めになっていることで誘引による余計な力が茎に加わらなくなります。
「苗は鉢の隅に植える」「苗は斜めに傾けて植える」という2つのポイントを実践すると、トマトの誘引作業が格段に楽になりますよ!
植え付け後は直ぐに支柱に緩く誘引する
植え付け直後には、茎を支柱へ緩く縛り付けます。
茎は成長をしているため、きつく縛り付けないように緩めに誘引します。
また、上記の通り、斜めに植え付けたことで、支柱への誘引が容易になっていることもお分かりいただけるかと思います。
さらに、トマトは放っておくと茎の中がさ2m以上になります。誘引することで背の高さを抑制できるので、次の写真の様に支柱を3本くらい立てて、それぞれに適宜誘引していくようにします。
中玉トマト栽培の基本!脇芽は全て除去する
トマトはミニトマト、中玉トマト、大玉トマトに関わらず、成長すると脇芽がどんどん伸びてくる植物です。
脇芽が伸びれば、その脇芽にもトマトが実るので、トマトの個数が多くなると思われるかもしれませんが、実は脇芽を伸ばすことにはデメリットがあります…
脇芽を伸ばすと、脇芽を伸ばすことに養分を使ってしまうため、実るトマトの数が減ったり、トマトの大きさが小さくなったりする弊害が生まれてきます。
脇芽は1本だけなら伸ばしても良いという考え方も目にしたことがありますが、もし自信が無ければ全ての脇芽を取ってしまったら良いと思います。
私が以前、中玉トマトを育てた際、脇芽をたくさん伸ばしてしまうという失敗をして、トマトが上手く実らなかった経験をしました。それ以来、トマトの脇芽は全て除去して育てていくことにしています。
日々の管理の中で脇芽の発生を確認したら、その時に脇芽を除去するようにしましょう!
脇芽は伸びたら伸びた分だけ余分な養分・エネルギーを使うことになるので、それだけ株の成長にとって損をすることになります。
中玉トマトの栽培初期の管理方法と成長
では、ここからは実際に中玉トマトの栽培した記録を紹介していきます。
株の成長や、成長と共に行う管理項目などを細かく写真と共に紹介します!
植付けから2週間で最初の花が開花
植付けから2週間経つと、株の大きさが目に見えて大きくなります。
次の写真は、左が植え付け当時の5月初旬の写真で、右が約2週間後の5月中旬の写真になります。
植え付け当時は、ひょろひょろとした苗でしたが、2週間経つと道がるような立派な葉を成長させて、茎の太さ (直径) も2倍くらいに太くなりました。
この時期の管理としても、茎をしっかりと支柱に巻き付けられるように誘引を怠らないようにします。
トマトは基本的に太陽に向かって垂直に枝を伸ばしていこうとする習性があるので、放置しておくと直立した株になってしまいます。
それを防ぐには、株・茎が成長したら、随時誘引を行っていくしかありません。
また、植え付けから2週間後には、次の写真の通り、最初の花が咲いてくれて、実りに向けた準備が順調に始まります。
植付けから3週間で最初のトマトが顔を出しました
花が咲いて1週間ほど経つと、花弁が落ちてトマトの実が顔を出し始めます (次の写真参照) 。
この時期になると、トマトの根も鉢の中にしっかりと張るようになり、成長にスイッチが入った様に株が大きくなってきます。
植付けから1ヵ月も経たないうちに、次の写真の様に大きな葉を展開させてきます。既に下の鉢が見えないレベルにまで到達しました。
これから更に大きくなると考えると、ベランダや玄関前のスペースでは少し手狭に感じる様になりそうな気がしますね。
しかし、これだけ立派な葉を展開させて、さらに脇芽を摘み取っている状態であれば、トマトは「鈴なり」にしっかりと実ってくれそうな予感がします。
茎が伸びたら適宜誘引を行い支柱に巻き付けて育てる
中玉トマトの苗は、植え付けから1カ月もすると、当初の小さな苗の状態が嘘のように、茎がとても太く剛直化してきます。
そのため、誘引の作業を怠っていると、いつの間にか茎が固くなり、支柱への誘引が困難になることがあります。
最悪の場合、支柱への誘引中に茎が折れてしまうという事態になりかねないので、出来れば4日か5日に一度は株の状態を確認して適切な誘引をするように努めて下さい。
また、誘引の作業では、麻紐などを使って誘引することになるかと思います。その際に。トマトの花に麻紐が辺り、花が落ちてしまう事が頻繁に起こります。
私自身も、過去のミニトマト栽培では、誘引中に花芽を落としてしまったことが多々あります。
誘引は大切な作業ですが、花芽を摘み取ってしまわないように注意してくださいね。
植付けから1カ月でトマトが大きく膨らんだ状態に
植付けからやく1ヵ月が経過すると、実ったトマトが大きく膨らんだ状態になります。
ここまで大きくなると、後は赤くなって食べられるのを待つだけの状態ですね。
このブログのタイトルにもある「鈴なり」で実っている状態になってきました。
また、6月に入ると気温が高くなるため、トマトの苗が欲する水の量が多くなります。朝与えても夕方になると土が乾いているような状態になるため、朝晩の水やりを行います。
また、新しい花芽もどんどん出てくるようになるので、誘引の作業とトマトの保護が大変になる時期でもあります。
枯れ始めた葉は適宜除去しましょう
多くの植物に言えることではありますが、古くなった葉 (役目を終えた葉) は順次枯れ始めます。
中玉トマトに限らず、ミニトマトも同じですが、下の写真の様に下葉が枯れてくることがあります。
このように黄色く変色した葉は、基本的に役割を終えた葉になりますので、早めに切り落としてしまいます。
枯れた葉や弱っている葉から病気や害虫の攻撃を受けやすいので、このような葉を残しておくことにメリットはほとんどありません。
放置しておくと見た目も悪いので、茎の付け根の部分でハサミを使って切り落としてくださいね。
トマトの葉は手でむしり取ろうとしても、簡単にむしり取ることはできません。そのため、無理に手で捕ろうとすると株を傷つける可能性があります。ハサミを使って綺麗に切り取ってあげて下さい。
中玉トマトの最初の収穫日が訪れました!
5月初旬に中玉トマトを植え付けてから約2ヵ月、6月下旬に初めての収穫となりました。
実は、もう一つ赤くなりかけたトマトがったのですが、カラスに食べられてしまい収穫ができなかったんです。
そのため、その後はトマトにネットをかけて保護するようにしました。
早速、朝のサラダとして食べてみましたが、「スィートトマト」の名の通り、スーパーマーケットで売っているトマトよりも確実に糖度が高かったです。
この最初の収穫の時点で、他のトマトたちも鈴なりに実っています!
トマトは土を乾かし気味に育てると甘くなるけど…
トマトは土を乾かし気味に育てると、見の糖度が上がり甘いトマトが完成します。
以前、高知県に行ったときに、フルートトマトと呼ばれる甘いトマトを食べたことがあるのですが、本当に果物の様な美味しさがありました。水を制限して育てたことによるトマトと聞きました。
あの時に食べた甘いトマトの衝撃は今でも覚えています。
しかし、トマトは水を与えないと病気を発症しやすくなるということもお聞きしました。
プロが育てるトマトであれば水の管理を正確にできるかもしれませんが、私達素人が行う家庭菜園では水の管理を最適化できるわけがないのです。
そのため、トマトの水やりを制限して甘いトマトを目指すよりも、水を与えて病気に強いトマトにする方が収穫量も増えてくれることかと思います。
この記事の終わりに
この記事では、中玉トマトの植え付けから収穫までの一連の作業、また成長の記録を紹介させていただきました。
夏の家庭菜園の定番であるトマトですが、大玉トマトは上手に実らせるには敷居が高くなります。
その点、中玉トマトであれば、ミニトマトと同じような栽培方法・難易度で育てることができ、比較的簡単に食べ応えがあるトマトを収穫することができます。
定期的な施肥、誘引、実ったトマトの保護さえ忘れなければ、誰でも簡単にトマトを実らせることが可能です。
皆さんも、春に出回る中玉トマトの苗を購入して、鈴なりの実りを経験してみてはいかがでしょうか?
実りの季節になると、調子がいい時には、2日に1個または2個の頻度で中玉トマトを収穫できますよ!?