近年、美しく独特な葉の形から人気の多肉植物。
成長速度がゆっくりで、限られたスペースでも育つこと、また様々な種類・品種があり、コレクション性も高いことが人気の理由かと思います。また、栽培方法も難しくなく、品種を選べば日本の寒い冬も越してくれるものも多くあります。
そんな多肉植物の中でも、最も人気のあるものがハオルチアです。
プニプニとした質感の肉厚な葉、葉の先端の半透明な「窓」と呼ばれる部分、そして様々な種類・模様…どれを取っても人気になる理由が分かる植物です。
そんなハオルチアですが、販売されている時には簡単なポットに植えられていますが、大事に育てるのであればお気に入りの綺麗な鉢に植え替えて育てることをお勧めします。
お気に入りの鉢を探し、そこに美しいハオルチアを植える…多肉植物の栽培の醍醐味です。
この記事では、ハオルチア・グリーンレツーサというハオルチアの中でも美種とされる品種を用いて、鉢の植え替えと子株の株分けを紹介します。
植え替えを行うハオルチア・グリーンレツーサ
今回の記事で、植え替えを行うハオルチアは、冒頭でも紹介しましたが「ハオルチア・グリーンレツーサ」という品種です。
ハオルチアの中でも少しレアな品種で、美しいハオルチアの種類としても知られるものです。専門店に行かないと手に入らない品種ではありますが、それだけ美しい品種なので、コレクションされている方にはお勧めです。
また、ハオルチアの植え替え作業については、基本的にどの品種も同じ手順で実施可能です。今回ご紹介する手順で基本的には多くの品種を植え替えできます。
今回は、上の写真に示すように、左側の鉢に植え替えを行います。元々育てていた鉢が、購入当初の味気ないプラ鉢だったので、少しカッコいい黒色の鉢に植え替えを行います。
ハオルチアは美しい緑色の葉が特徴的な多肉植物ですので、黒色の鉢が似合います。白色や茶色の鉢では、美しい緑色が際立ちません。カッコいいハオルチアの鉢植えには黒色の鉢が最適です。
ハオルチアの植え替え手順の詳細
ハオルチアの植え替え最適期
日本の気候の中では、ハオルチアは冬と夏に半休眠状態に入ります。
その休眠状態に植え替えを行ってしますと、根が培養土に根付くことができず、枯れ込んでしまう原因にもなります。
そのため、出来る限りハオルチアが元気に成長して根を張る元気のある時に植え替えをすることが望まれます。それは春と秋の過ごしやすい気候の時になります。春でしたら4月から6月初旬、秋であれば10月から11月初旬くらいが最適期ですね。
今回の記事で紹介するハオルチアは、10月の中旬に植え替えを行いました。
以下で、植え替えの手順を写真と共に御紹介します。
① まずは古い鉢から株を抜く
まず最初に、ハオルチアを鉢から抜き取る作業です。
多肉植物の鉢植えにありがちな事ですが、植え付けから一度も土の入れ替えを行ったことが無いという場合が多いです。
そのため、培養土が固まってしまっているような場合があるので、爪楊枝や割りばしで土をほぐしながら古い土を除去して株を抜いていきます。
実際にハオルチアを鉢から抜いた写真が上の写真になりますが、元気な白い根が沢山出ていることが分かります。この白く太いしっかりとした根が健康的なハオルチアの証拠になります。
② 根を大事にして古い土を落とす
次に古い土はなるべく落としていきます。
せっかく新しい土に植え替えるので、根鉢は崩して古い土は落としてあげるようにします。
古い土は植物の育成に必要な微量元素も枯渇している場合があるので、出来る限り古い土は落として、新しい土で根を撒いてあげることが必要です。
下の写真は、可能な限り土を落とした後の写真になります。
そこまで大きなハオルチアではありませんが、立派な太い根が生えていました。これだけしっかりとした根があれば、植え替え後も問題が生じずに根付いてくれると期待できます。
太く立派な根が生えていることがハオルチアの特徴でもあります。地上部に見えている葉の部分は小さいかもしれませんが、根については地上部をしっかりと支えるだけの立派な根を持っています。
③ 新しい鉢に植え付け
古い土を落とす作業が完了したら、新しい鉢と培養土に植え付けを行います。
培養土については、市販の観葉植物や多肉植物の専用培養土を使用すると失敗は無いかと思います。その際の注意ですが、多肉植物用の培養土は元肥が入っていない場合が多いです。
植え替え後のハオルチアは、休眠状態になる前までは成長するので、出来れば元肥を入れておくこと良いかと思います。
もし元肥を入れ忘れた場合は、固形肥料や液体肥料で肥料補給してあげて下さい。
実際に植え付けを行った後の写真が下になります。やはりハオルチアには黒いクールな鉢が似合いますね!
④ 株分けを行う場合は子株を取りましょう
さて、ハオルチアの植え替え作業を行っていると、小さな子株を株分けできる状態になっている場合があります。
今回の植え替え作業でも子株の株分けが可能な状態であったので、実際に株分けの作業も行ってみました。
下の写真で私の指が見えている部分ですが、これが子株となります。
よく見ると、この子株からは根が生えており、株分けして独立させても育成可能な状態になっていました。そこで、この部分をした方向に優しく押してあげると、子株の部分がポロっと取れます。
実際に子株を取り外したものが下の写真になりますが、子株にも長い根が伸びており、自分で養分を吸収することが可能な状態であることが分かります。
このハオルチアの子株は、いきなり大きな鉢植えにはできないので、小さなポットで育てることになります。
今回は下の写真の様に、ビニールポットに培養土を入れて、ハオルチアの子株を植え付けました。植え付けの際は根を培養土の中にしっかりと植えこみます。
このまま日当たりの良い温かい場所で冬までは管理します。
寒さが厳しくなる前に、家の中の明るい窓辺に移して、冬越しさせながら成長をさせていきます。この子株の成長については、また別の記事で紹介できればと思っています。
ハオルチアの植え替えの注意点
ハオルチアの植え替え時の注意点ですが、いくつか注意点はあるのですが、最も注意しなければならないことが2つあります。
1つ目は上でも紹介しましたが、植え替えの時期です。冬の寒い時期に植え替えを損なってしまうと、株が新しい土に根付くことなく冬を迎えてしまうため、冬の間に枯れ込んでしまうことが考えられます。
また、2つ目の注意点は、なるべく根を切らないように植え替えを行うことです。ハオルチアの根は太くて丈夫なものですが、切れてしまうと再生までにはある程度の時間がかかります。
植え替えの作業は植物にとっては、安定した養分吸収が一時断たれるというイベントになりますので、なるべく根を大事にして植え替えすることが鉄則です。
もちろん、茶色く変色して腐りかけているような根は除去すべきですが、白く太い元気な根はなるべく切らないように植え替え作業を行います。
株分けした子株の管理について
株分けを行った子株の管理については、正直なところ失敗してしまう恐れがあることは忘れてはならないと思います。
子株は親株に比べると生命力が弱いことは確かな事です。
株分けした子株の植え付け後に、根がしっかりと養分・水分を吸い上げられないよう場合は、そのまま枯れ込んでしまうこともあります。
また、そもそも根が少ない状態だった子株は、きちんと根付く前に残念な結果に終わってしまう場合があります。
しかし、株分けが成功した子株については、成長に合わせて緩効性肥料や液体肥料を与えてあげて下さい。
ただし、常に培養土が湿っている状態は根の発育に良くないので、乾湿のメリハリをつけた水やりを行うことは、ハオルチアの株分けにとっても重要な管理となります。
さらに、子株の健全な育成には、管理場所の選定が非常に重要になります。下の記事では、ハオルチアの栽培条件・日照条件の違いで成長に大きな違いが出た実験結果を紹介しています。
この記事の終わりに
この記事では、人気の多肉植物の一つである「ハオルチア」の植え替え作業について、写真入りで詳細に紹介をさせていただきました。
また、植え替えの際に子株が取れた場合の株分けの作業についても、注意点を踏まえて説明させていただきました。
ハオルチアは、とても美しい透き通った肉厚の葉が特徴的ですが、大きく育つほどにその美しさが増してきます。また、子株が取れれば、ハオルチアの数を増やすこともできるので、長い年月、ハオルチアを楽しむことも可能です。
窮屈な鉢の中ではハオルチアも健全に育てませんし、株の大きさにも影響を与えてしまいます。鉢の大きさが小さいと感じたら、適切な大きさの鉢に植え替えて、立派なハオルチアに育てていきましょう!