近年、お家の中でも楽しめる植物ということで人気の多肉植物。
その中でも独特な透明な多肉の葉を持つ「ハオルチア」は、明るい窓辺で育てる事が出来るため、インテリアとしても人気となっている多肉植物です。
成長速度が遅く、肥料やりや水やりを頻繁に行う必要もないため、植物を育てる事が苦手な方でも安心して育てられる植物かと思います。
そんな人気のハオルチアですが、栽培条件が変わるとその成長は大きく変わると言われています。
室内でも育つとはいえ、ハオルチアが枯れてしまったという例も多数あるので、室内のどこで育てても良いというわけでは無さそうです。
しかし、栽培条件が変わった時のハオルチアの成長の違いって、あまり情報や実例が無いのが現状ですよね。
であれば「実際に実験をしてみよう!」ということで、ハオルチアの子株を用いて栽培条件を変えた場合の成長の変化を実験したので紹介します。
実験に用いるハオルチアの準備について
今回の実験に用いるハオルチアですが、私の別の記事で紹介している「ハオルチアの株分け方法」で株分けを行った2株の子株になります。ハオルチアの品種としては、ハオルチア・グリーンレツーサになります。
詳細は下記のリンクから御確認下さい。
実際の子株の状態が下の写真になりますが、株分けから約4カ月経ち、根もしっかりと成長した状態の子株です。
大きさや多肉の葉の状態もほぼ同じ条件と言えるような2株です。
実験するハオルチアの栽培条件 (2条件)
では、実際にハオルチアの子株を栽培する2つの条件について紹介します。
一つ目はハオルチアの栽培に最適であろう明るい屋外の軒下、二つ目は家の中で日光の当たらない場所となります。
比較実験の栽培開始は2021年4月20日です。成長の違いが明確になるまで実験を続けました。
詳細を以下で説明します。
条件①: 直射日光が当たりにくく明るい屋外の軒下
1つ目の栽培条件は、直射日光が当たりにくい、屋外の明るい軒下になります。
ハオルチアに直射日光が当たる時間は、1日当たり2時間程度の場所になります。
サボテンやアガベなども栽培してる場所でもありますが、サボテンやアガベにには直射日光が長い時間当たりますが、ハオルチアには日光があまり当たらないように管理できる環境です。
風通しも良く、まさにハオルチアの栽培には適していると言えるような場所です。
条件②: 室内の直射日光が当たらない場所 (読書が出来るくらいの明るさ)
もう一つの条件は、室内です。
ハオルチアは室内での栽培が可能と言われていますので、室内であまり光が当たらないような場所で育てている方も多いのではないでしょうか?
まさに、その条件に近い条件で育ててみることにしました。
具体的な場所としては、電子ピアノの上になります。
窓からは少し距離があり、窓越しの日光もほとんど当たらず、明るさのレベルとしては昼間に読書が出来る程度の場所です。
今回は上記の通り、2つの両極端な場所を用意してハオルチアの子株を栽培してみます。
明るい屋外の方が確実に成長は良いだろうと思えるのですが、実際のところどうなのでしょうか?
以下で、その成長過程の違いを見ていきたいと思います。
実験に用いたハオルチアの管理は日照条件以外は同条件
今回の実験では、栽培環境だけを変えるために、その他のハオルチアの管理方法はなるべく揃えています。
例えば、水やりについては、土が乾いた状態で水やりをしています。
ただし、屋外の方が土が乾きやすいので、屋外の方が必然と水やりの回数は増えますが、その点は仕方無しです。
また、肥料については、効果が続く緩効性の置き肥を使用し、液体肥料は使用していません。
また、霧吹きによる多肉の葉への葉水は行いませんでした。
実験開始から20日後の比較
ハオルチアの成長は遅いので、20日程度では大きな変化は無いのですが、一応成長の違いが無いかを見ていきたいと思います。
屋外栽培のハオルチア
まず最初に屋外で栽培しているハオルチアについて、実験開始時と20日後の状態を下の写真で比較しています。
中央にある多肉の葉が伸びてきているのが分かるのと、周囲の多肉の葉も若干ではありますが伸びていることがわかります。
総じて、特に問題無く多肉の葉が成長していると伺える状態です。
室内栽培のハオルチア (窓越しの光も当たらない条件)
次に、室内で育てているハオルチアの子株について、実験開始時と20日後の写真を並べてみました。
室内栽培の子株については、屋外で育てているハオルチアの子株に比べて、葉の伸びた長さが長くなっています。
まだ20日後の比較なので、明確な差かどうかはわかりませんので、引き続き成長速度などは確認していきたいと思います。
成長の違いとして葉の「つや」や「透明度」が変化
まだ実験開始から20日ですが、多肉の葉の様子にも違いが出てきているように思えます。
下の写真は、それぞれの子株を拡大して撮影した写真ですが、葉の色や透明度に違いがあることが分かるかと思います。
屋外で栽培しているハオルチアは、多肉の葉にある「窓」の透明度が低い様に思えます。
それに対して、室内栽培のハオルチアは窓の部分の透明度が高くなっており、葉の美しさで考えると室内栽培の方が美しいです。
これは、ハオルチアの多肉の葉に直射日光が当たるか当たらないかによる差だと考えられます。
ハオルチアはこの窓の部分から光を取り込んで成長をしていきますが、差し込む光が強い状態だと窓の透明度を下げて葉を守ろうとします。それに対して、光が弱いとより多くの光を葉に入射させるため、窓の部分の透明度を上げて成長しようとします。
わずか20日後の比較ですが、既に多肉の葉の成長には差が出てきていることが分かります。
実験開始から40日後に大きな変化が発生
実験を開始してから40日が経過したのですが、とても大きな変化が確認されました。
室内で栽培をしていたハオルチアの方ですが、育成不良に陥り、枯れてしまっていることが判明しました。
写真がその時の様子となります。
葉が腐食して株自体が倒れてしまっていることが分かります。
根腐れしてしまったのかと掘り起こしてみたのですが、根はそこまで傷んだ様子ではありませんでした。
そのため、日照条件が悪いことが原因の育成不良であると考えられます。
また、同じタイミングで屋外で育成していたハオルチアも確認したのですが、こちらは健康的な葉を展開してくれており、次の写真の通り全く問題が無い状況でした。
室内栽培のハオルチアが枯れる原因は日照条件も疑うべき
ハオルチアは室内でも栽培が出来る、比較的丈夫な多肉植物だと言われています。
しかし、実際の所、室内で栽培している方が枯らせてしまったという話をよく耳にします。
今回の実験から考えると、室内栽培でハオルチアが枯れてしまう原因の一つが日照条件なのだと推測されます。
実験に用いた子株を取った親株のハオルチアは、下の写真の様に、室内でスリガラス越しの日光が当たる窓辺で育てています。この環境で株が弱ることなく、子株をどんどん出してくれるので、育成には問題が無いと言えます。
また、上の実験に使用した2つの子株は、株分け後は親株の隣で育てていたものになります。つまり、子株が育つ条件としても、明るい窓辺は問題が無いと言えます。
そのため、枯れてしまった子株は、日照条件が原因だと結論付けられるかと思います。
皆さんのハオルチアの栽培経験の中で、元気なハオルチアを購入して栽培をスタートしても、1カ月くらいで元気が無くなり枯れてしまった…というパターンがあるかもしれません。それは、日照条件が適合していなかった可能性も疑うべきかと思います。
今回の実験でも、実験開始から40日位で株が枯れ込んでしまった状況ですので、日照条件が合わない場合には約1か月くらいで不調が現れるのかもしれません。
ハオルチアを室内で栽培する時には、「読書が出来るレベルの明るさ」ではなく、外の明るさがしっかりと入るような窓辺で栽培することが望ましいと言えるかと思います。(ただし、強い直射日光は不要かと思います。)
この記事の終わりに
この記事では、ハオルチアの子株を用いて、栽培条件 (日照条件) による成長の違いを実験した結果を紹介させていただきました。
今回は、屋外の明かる場所と、読書が出来るレベルの室内という2つの条件を用意しましたが、後者については40日でハオルチアの子株が枯れ込んでしまいました。
室内でも栽培が可能と言われるハオルチアですが、ある程度の明るさ (レースカーテン越しの日光など) は絶対に必要だということがお分かりいただけたかと思います。
室内栽培でハオルチアを枯らせてしまった方は、日照条件をもう一度確認してみると次の失敗が防げるかもしれません。
ハオルチアの栽培が上手くいかない方にとって、有益な情報となりましたら幸いです。