癌腫病に罹った薔薇の冬剪定と注意点

2021年の年明けは大寒波の到来で、私の住む関西都市部でも、最低気温が氷点下、最高気温が3℃でした。

普段はそこまで冷え込まないので、最高気温が3℃となると、かなりしんどいです…雪国の方に言ったら怒られそうですが…(笑)

そんな大寒波も過ぎ去りましたので、毎年恒例の薔薇の冬剪定をスタートさせました。毎年、1月の中旬から順次薔薇の剪定を進めています。

この記事では、昨年の夏に癌腫病を発症した薔薇「プラム・パーフェクト」の冬剪定について紹介したいと思います。

癌腫病に罹った株と言うことで、剪定の時に気を遣った確認事項などを紹介していきたいと思います。癌腫病の詳細は下記のリンクで紹介しています。


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剪定前に確認すべきこと

まずは剪定作業の前に、以下の点を確認していきました。

病気に罹っていない薔薇であれば、あまり気にせずに剪定してしまうこともあるのですが…。癌腫病の履歴がある株ということで、少し気を遣いました。

① 癌腫病の再発が無いかを事前チェック

まずは、癌腫病が無いかをチェックします。

癌腫病が発覚し癌腫部を除去してから、毎月のように罹患部のチェックは欠かさずに行ってきました。

運がいいのかもしれませんが、夏の癌腫除去以降は癌腫が再発することなく管理できています。

冬剪定の前にも、下の写真の通り、癌腫罹患部の確認を行いました。黄色の矢印部分が癌腫病を発症した場所になりますが、特に大きな変化は無い状況です。

冬は薔薇が休眠に入るので、病気も現れにくいというのがあるのかもしれません。このまま癌腫病の再発無く春以降も成長してくれるといいのですが…。

② 新芽の膨らみ具合を確認

次に新芽の膨らみ具合を確認していきます。

上にリンクを貼った記事でも紹介しましたが、癌腫を発症した時には、1番花後の新芽の成長がとても悪い状況になりました。

そのため、冬剪定の時には新芽の膨らみ方が悪いのではないか?と思っていました。

しかし、下の写真の様に、ぷっくりと膨らんだ元気な新芽がいくつも顔を出し、例年通りの冬の状態になっていことがわかりました。

ここまで元気に新芽が出ているようなら、問題無く剪定が進められると思います。

逆に元気な新芽が出ていない状況だと、どの位置で剪定して良いのか迷ってしまいますからね…。新芽が出ていてくれることは、剪定で切る位置の判断を容易にすると言う意味でも重要な事です。

③ 株全体が例年通り真っ赤に変色

病気に罹ったということで、前年の冬との比較と言う観点でも、株の状態をみておくことが大事かと思います。

今回紹介している「プラム・パーフェクト」という薔薇は、寒さから身を守るために、冬には枝が全て真っ赤に変色します。

今年の冬も上の新芽の写真で紹介したように、株全体が真っ赤に染まっています。「見た目」という意味では、例年通りのプラム・パーフェクトです。

今回は太い枝だけ残すことに決定

上で紹介した通り、①②③の観点から、プラム・パーフェクトは癌腫の影響があまり残っておらず、例年通りの休眠状態だと言えそうです。

少しでも異変があれば、冬剪定の方法を変えようかと思いました。例えば、元気な新芽のある場所は残して置いたり、生命力を感じない枝でも剪定せずに残しておく等です。

しかし、その心配も無さそうであると判断しました。

したがって、冬剪定は他の薔薇と同じように、太い枝の位置・良い新芽位置で、ばっさりと剪定していこうと思います。

失敗したら、その時は回復させれるように対処すればいいんです(笑)


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剪定方法の具体例を写真で紹介

では、実際に剪定のやり方や、剪定前後での株姿を紹介していきたいと思います。

基本は上で紹介したように「ばっさりと剪定」という方針で進めます。

剪定を行う前の株姿が下の写真になります。癌腫病だったこともあり、夏以降の生育があまり良くなく、枝の数が少ない感じがあります。また、枝の太さを見ても、太い枝もありますが、昨年よりも少し細い枝が多いような印象です。

この株を選定していくのですが、太い枝の位置で切ることを決めたので、次の写真の様に、株元に近い新芽の位置で剪定します。

この枝であれば、もう一段高いところまで枝を残しても良い様に思えますが、太い枝から次の太い枝を出してほしいので、下の黄色の円で示した部分で切ります。

この方法で次々と剪定を進めていき、結局のところ、下のような株姿になりました。太い枝しか残していません。まさに「強剪定」ですね!この株の芽吹きについては、今年の春に紹介できればと思います。

培養土の入れ替えは必要か?

薔薇の冬の管理と言えば、剪定に加えて培養土の交換もあります。

癌腫になった薔薇については、交換をした方が良いという意見と、交換しない方が良いという意見の両方があるかと思います。

前者の交換した方が良いという意見は、培養土の中に細菌が残っているかもしれないという観点でのもの。後者の交換しない方が良いという意見は、弱っている薔薇なので、あまり土や根をいじらない方が良いという観点でのものです。

私個人としては、冬は薔薇が活動を止めているので、どちらでもよいのではないかと思っています。

ただ、昨年の夏に癌腫を発症する前に植え替えをした鉢植えの薔薇なので、今回は培養土の植え替えは行いませんでした。

鉢底から根がはみ出しているわけではないですし、順調に癌腫の再発無く管理が出来ているので、もうしばらく培養土交換無しで様子を見ていこうと思います。

順調に育成してくれれば、来年の休眠のタイミングで培養土交換してあげようかと思います。

ただ、培養土を何年も入れ替えていない場合や、薄い茶色の状態である場合には、土がやせ細って養分が乏しい状態です。春以降に薔薇に養分・活力を与えられない状況になります。そのような場合には、培養土を交換した方が良い方向に向かうかと思います。


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春先からは癌腫の再発に注意

冬の剪定が終わったら、寒肥を与えて春を待つだけですね!

2月の後半になり、気温が上がり始めると薔薇が本格的に活動を始めます。

癌腫を発症した薔薇は、繰り返し癌腫に悩まされることがあります。冬場は薔薇が活動していないので、癌腫自体も再発する可能性は低くなります。

しかし、芽吹きの時期を迎えると、それに伴って癌腫の再発が懸念される時期に入ります。

そのため、特に春先からは癌腫に罹った場所を入念にチェックして、再発しているようであれば早めに対処してあげる努力は必要だと思います。

この記事の終わりに

この記事では、少しマニアックですが、前年に癌腫病を発症した薔薇の冬剪定と言うテーマで書かせていただきました。

癌腫病は薔薇の病気の中でも厄介な病気として知られていますが、管理方法の工夫と運次第では無事に回復してくれることもあります。(もちろん、再発することもありますが…)

冬剪定は薔薇が休眠期にあるとはいえ、癌腫病の履歴があるという点から、状態を見ながら剪定をすることが重要かと思います。剪定に失敗しても枯れ込んでしまうことは無いかと思いますが、少し考えるだけでベストな剪定作業に近づけることはできるはずです。

癌腫病だけでなく、その他の病気についても同じことが言えるかと思います。

剪定作業は薔薇のお世話の中では最もダイナミックなものになります。寒い中ですが剪定作業を楽しんでいきましょう!

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