私の薔薇栽培経験の中で、2020年に初めて経験したことがあります。
薔薇の「癌腫病」です。
薔薇に関する本では癌腫病の存在を知り、知識としては持っていたのですが、実際に薔薇を栽培していて経験したことの無い病気でした。
薔薇の病気と言うと「黒星病」や「うどんこ病」が有名ですが、稀に出てしまう癌腫病は黒星病などに比べると少し厄介な病気であるという認識でした。
2020年の薔薇の管理の中でプラムパーフェクトという品種の薔薇が癌腫に罹りました。しかし、癌腫の除去を行い適切な管理をしたことで無事に秋の開花までつなげることができました。
この記事では、癌腫に罹った薔薇の秋の開花までの軌跡を紹介したいと思います。
はじめに -癌腫病発症までの経緯-
2020年の春の開花シーズンは、例年通りに栽培している全ての薔薇が綺麗な花を咲かせてくれました。
何もかもが順調に進んでいた時でしたが、1番花が終わった後にプラムパーフェクトだけが2番花の新芽を出そうとせず、沈黙の状態に陥っていました。
その時は、春の開花シーズンに体力を使い切ってしまったことが原因で、仕方ない事なのかな…と思い込んでいました。
しかし、初夏のある日のこと、株元を確認していた時に、プラムパーフェクトが癌腫病に罹っていることを発見しました。最初は、株元のクラウンが大きくなったものだと思ってしまったのですが、癌腫が大きくなるにつれて、明らかに他の薔薇のクラウンとは異なる形状に変化していきました。また、手で触るとボロボロと取れるという点からも、確実にクラウンでは無いことも分かりました。
私の薔薇栽培経験の中で初めての癌腫病だったので、癌腫であると断定するまでに少し時間を要してしまったのも事実です。
その後、プラムパーフェクトの癌腫を掘り起こして除去するという作業を行い、癌腫からの回復を最優先にして管理を進めてきました。癌腫の除去については、別の記事にまとめていますので、そちらを参照ください。
癌腫除去後のプラムパーフェクトの管理
癌腫を除去した後ですが、何よりも株の回復を最優先にした管理をしてきました。癌腫病は薔薇を完全に枯らせてしまうような病気ではないと認識していましたが、養分を癌腫に吸われていたため、新芽の発芽が著しく悪くなっていました。
癌腫の除去後は、基本的にあまり肥料を与えず、土が乾いたら水を与えるということだけに専念して管理していました。また、癌腫除去の直後は肥料では無く活力剤で根の力を上げるような管理をしていました。
勿論、新芽が芽吹き始めたら肥料が無いと回復が遅れるので肥料は与えていましたが、肥料は液体肥料を規定倍数よりもさらに薄めたものを与えるという方法です。
また、癌腫がある時には新芽がほとんど出ず、新芽が出たとしても成長がとても遅い状況でした。それに対して、癌腫を除去した後は新芽がきちんと伸び始めましたので、癌腫があった時には養分のほとんどが癌腫に吸われてしまっていたのだと思われます。
一部、癌腫除去の影響で、葉が枯れてしまったことはありましたが、約3か月かけて無事に回復し、秋の開花まで迎えることができました。
癌腫除去部の現在の状態について
癌腫を除去した部分ですが、現在の状態を下の写真で紹介しておきます。黄色の矢印で示す部分が癌腫のあった部分です。
この写真からわかると思いますが、癌腫が再び膨らんでくることは抑制できています。癌腫病は再発することも多々あるということを聞きますが、現時点では回復の兆しを見せているのかと。
また、癌腫除去後の管理で一つ工夫した点があります。
癌腫除去部は地中に埋めないということです。
これは私の個人的な見解なのですが、癌腫病の部分を土に埋めると、再び癌腫ができ始めた時に早期発見できないというデメリットがあります。また、土に含まれる細菌などで、癌腫の除去部分が影響を受けるのも嫌だったので、土をかぶせずに管理してきました。もしかしたら、その甲斐もあって癌腫部の再膨張が無くなったのかもしれません。
定かな見解ではないのですが、癌腫病の部分を常にウォッチングできるという観点では、土の中に埋めないということは重要なのかと思います。少し株元・根元に土が被っていませんが、薔薇の育成には特に大きな問題が起こるものでは無いです。
癌腫から回復した株姿の紹介
次の写真は、癌腫除去の後、秋の開花直前のプラムパーフェクトの株姿になります。左の写真は夏剪定を行った直後のもので、右の写真が秋の開花直前の姿になります。
夏剪定を行った際には、癌腫からの回復が間に合わず、秋に開花が見られないことを懸念していましたが、良い意味で期待を裏切ってくれて、無事に開花に繋がってくれました。
樹形については、あまり綺麗な状態では無いですが、葉が青々としており黒星病などにも全く罹っておらず、健康的な状態であることがわかります。冬の剪定で、春の開花までを意識した剪定を行い、樹形を整えていこうと思います。
癌腫を乗り越え秋の開花を迎えました
癌腫に罹った薔薇の花の大きさや形、そして色に変化があるのか?という疑問はあったのですが、今回のプラムパーフェクトについては、花の質には癌腫除去の影響は全く無いと言えるかと思います。
下の写真で、2020年春に癌腫になる前のプラムパーフェクトと、癌腫を除去した後の秋の開花を比較しています。
花弁の数については、春の方が若干多いように思えますが、花のサイズや花弁の形については全く同じレベルになっておりました。花のサイズについては春の方が若干大きいことは確かですが、秋も春に負けないような大きさで花を咲かせています。
また、花の色については、秋の方が紫色が濃く出ていますが、これはプラムパーフェクトの秋薔薇の特徴でもあります。昨年も同じような傾向でしたので、順調に株が回復している証拠でもあるかと思います。
この記事の終わりに
本記事では、癌腫に罹った薔薇「プラムパーフェクト」の秋の開花までの軌跡をまとめさせていただきました。
癌腫に罹ったことが発覚した時には、プラムパーフェクトを手放すことを覚悟した瞬間もありましたが、癌腫を除去した後には無事に回復をしてくれて例年通りの秋薔薇を咲かせるまでになりました。
癌腫と聞くと致命的な印象がありますが、適切な処置を行うことで薔薇の生命力によって回復が可能なことが証明できたかと思います。
勿論、薔薇の全ての癌腫病が同じように回復できるとは言えませんし、癌腫が再発してしまうケースもあるかと思います。
しかし、薔薇自身はとても強い植物ですので、癌腫に負けないで育ってくれる一面も持っていることは確かです。
同じように薔薇の癌腫に悩まされた方にとって、有益な情報が発信できていれば幸いです。
今後ともよろしくお願い致します。