薔薇の成長速度を実測!品種ごとの違いも紹介

冬が終わりを告げ、春一番が吹くころから、薔薇の新芽が一気に成長を始めます。

その後、蕾が付き、開花を迎えるまでの薔薇の成長速度は本当に早いものです。

毎日観察しているとわかりにくいですが、3月前半からの1か月は新芽の伸びるスピードが本当に早いですよね!

「1日に1cm位は伸びますよ」と言われることもありますが、本当なのでしょうか?

この記事では、薔薇の何品種かを例にとり、実際に春の新芽の成長速度や月ごとの成長の違いを比較してみました。

結果としては、「薔薇は1日に1cmくらい成長する」というのは事実です。品種ごとに成長速度に変化が出てくることがわかりました。また、薔薇の新芽の成長は、3月が最も成長速度が速く、蕾ができ始めると枝の成長が止まるという特徴も確認することができました。

以下で詳細を記したいと思います。皆様の薔薇選び・薔薇栽培の御参考になれば幸いです。


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成長速度を比較した品種

今回の調査にご協力をいただいた薔薇は、私が育てている以下の5品種です。

1. ブルームーン (ハイブリッド・ティー, 地植え)

2. プラムパーフェクト (ハイブリッド・ティー, 鉢植え)

3. ジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコ (フロリバンダ, 地植え)

4. ブライダル ピンク(フロリバンダ, 鉢植え)

5. ノヴァ (ミニ薔薇, 地植え)

敢えて、ハイブリッド・ティー、フロリバンダ、ミニ薔薇を混ぜてみました。また、地植えと鉢植えも混ぜてみました。色々な系統の薔薇を比較することで、何か違いが見えてくるのか?を調べてみようと思い、わざとバラバラに薔薇を選んでみました。

比較した品種の育成条件について

今回比較した薔薇は全て、南面の日当たりの良い場所に置いてあります。1日5時間以上の日照は確実に確保できる場所に置きました。

また、肥料を与える時期については2月の初旬に芽出し肥料として与え、どの薔薇もほぼ同時に与えています。

肥料の種類は地植え薔薇の場合は寒肥として有機肥料を与え、鉢植えの薔薇は基本的に薔薇用の化成肥料です。

水やりについては、地植えの薔薇は雨が全く降らなかった時は水やりを行いましたが、基本的に放置して育てました。鉢植えの薔薇、3日に1度くらいのペースで水やりをしています。

鉢植えの鉢の大きさは全て10号鉢となります。

今回調査した薔薇達の全ての新芽の長さを測定したわけではないですが、測定の対象とした枝は摘蕾を敢えて行いませんでした。人の手を加えず薔薇が伸びたいように成長させてあげて、薔薇が自然な状態で成長できる環境を整えました。


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新梢の長さの測定方法

春の新梢の長さの測定は、昨年の冬に選定した去年のシュートからの長さを測定しています。実際の例を下の写真に挙げます。

黄色の矢印の長さを測定することで、新梢の長さとしました。

この写真はプラムパーフェクトの例ですが、今年も元気にたくさん蕾を付けてくれています。

新芽の長さを測る方法の写真

また、測定の期間ですが、新芽が伸び始めてから蕾が開き始めるまでの期間としました。花が咲くと枝の伸びの成長が止まりますので、そこで測定はストップです。

私は会社員ですので、平日の朝と晩に時間が無いので、基本的に土曜日の朝に新芽の長さを測定していました。周りから見たら、何やってんだこの人?と思われていたかもしれませんね (笑)。

新梢の成長速度の測定結果

では、この2カ月の測定結果を発表します!

少しグラフが混雑して見づらくて申し訳ないのですが、下のグラフが今回の測定結果です。各品種、主に伸びた2本の新梢の長さを測定しています。

約2カ月の長い調査だったのですが、グラフにすると苦労が1枚のグラフになってしまうんですよね…悲しいような…。

以下で、2月、3月、4月に分けて成長の特徴を説明したいと思います。

新芽の成長速度を測定した結果
新梢の長さの成長記録

2月中はゆっくり育つ期間

2月の後半に新芽が伸び始めた時から測定を始めたのですが、新芽の成長初期は、成長速度が非常に緩やかですね。

まだ、薔薇が完全に活動を開始していない証拠ですね。

一気に成長する準備体操をしているような状態です。

確かに考えてみると、新芽が芽吹いてからしばらく間、薔薇が足踏みをしているかのようにゆっくり成長している時がありますよね。成長初期の段階は、まさにそのイメージの通りの結果だと思います。

3月に入ると一気に成長する期間

3月の半ばになると、成長力が一気に上がります。

特に成長の伸びが凄かったのが、ジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコです。あまりにも成長が早くて、どこまで伸びるのか心配になりました。

薔薇は「1日に1㎝以上伸びますよ!」と言われることがありますが、実際に測定してみると確かにその通りです。1週間で10㎝伸びています。つまり1日に1.5cmの成長です。

3月に成長した新梢が、春の嵐で折れてしまうことがあります。これは、今回の結果で分かったように、成長が異常に早いことと枝が柔らかい (水分を多く含んでいる) ことが原因なんですね。

私自身も、3月に長く伸びた枝は、なるべく早めに支柱で支えてあげています。成長速度が速いので、早期に支柱を立ててあげないと折れてしまいますよ!

ピンク色のバラの花束

4月に入ると成長が遅くなり花の準備が始まる

4月に入ってしばらくすると、3月よりも成長が鈍ってきているのが分かりますね。これは、茎の成長ではなく、花の準備にエネルギーを使い始めるからであると考えられます。

蕾が顔を出し始めると、エネルギーの多くを花の形成に使います。薔薇の花は花弁数が多く、花弁が大きく、花弁の厚みも厚いので多くのエネルギーを必要とします。茎の成長はほとんど止まってしまいますが、薔薇の花を支えられるように水分が少しずつ少なくなり、硬い枝にも変化してきます。この特徴は、どの薔薇にも共通に見られるものです。

実際に、4月に入ると小さな蕾が顔を出し、約1カ月の蕾の準備が始まります。薔薇を育てている方からすると、本当に待ち遠しい1カ月ですよね!

品種ごとの特徴

品種ごとにグラフを色分けし、それぞれ2本の新梢の成長を測定しましたが、何かわかることがあるでしょうか?

まず、今回成長速度を測定した各薔薇の新梢の成長速度ですが、品種ごとにグラフがまとまっていることが分かるかと思います。

単純に考えると各薔薇ともに、新梢の成長速度はどれも概ね同じぐらいのスピードになるのだなぁ、と考えられます。

しかし、今回の成長速度の測定は上で記載しましたが、「最も成長が早い2本の新梢」を対象にしたため、最も栄養をもらっている枝を測定対象にしているということになります。

実際、今回測定した新梢以外にも多くの新梢が芽吹いてきますが、薔薇の頂芽優勢の性質により、株元に近い位置から出たものほど成長が遅かったことは事実です。

つまり、それぞれの品種において「最も栄養をもらっている新梢達は成長速度が概ね一定である」ということは言えますが、それ以外の新梢には差が出てくるのが現状です。全ての新梢の成長速度を測っていたら、さらに有益なデータになったのですが、さすがにそこまでやる気力が無かったです。

実際、読者の皆様の薔薇も、一番高い所にある新芽が最も養分をもらって成長が最もよくなり、地面に近い方から伸びた新梢は成長が遅いのではないでしょうか?

また、地植えと鉢植えでの成長の違いですが、今回はあまり差が出ていませんでした。若干地植えの方が、新梢の長さが長くなりましたが、これは品種による差なのか、植え方による差なのかはわかりません。

しかし、寒肥を頑張って与えた私としては、寒肥を与えた地植えに良い影響が出ていたと考えたいものです。


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この記事のまとめ

今回は、私の約2カ月にわたる薔薇の成長記録をまとめさせていただきました。

「春の薔薇は成長が早い」と言われても、実際どのくらい成長が早いのか?ということを調査した情報がネット上いも無かったので、実際に調べ自分で調べてみた結果となります。

結果を見てしまうと、そんなものか…と思われるかもしれませんが、データで見てみると、様々なことが見えてきますよね!

薔薇は1日に1cm伸びるという噂は本当でした。私自身、疑っていたところもあるのですが、実際に測定すると1cm以上伸びる期間があるんですね。

また、新梢の成長初期は少し緩やかな成長速度で、3月になると一気に成長速度が増加するという性質も興味深かったです。

今回は新梢の長さを測定したデータを紹介させていただきましたが、まだ他にも、別の観点で調査しているデータがあるので、またブログにまとめて御紹介していきます!

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