多肉植物の中でも、そのクールでカッコいい容姿で人気を集める「アガベ」。
ロゼット状に多肉の葉を展開しながら、その先端には尖った棘を持ち、他の園芸品種にはない独特な雰囲気を持つ植物です。
また、その豊富な種類からコレクション性も高く、小さな株でも一株数万円するような品種まであります。
そんなアガベですが、成長速度が遅いため、植え替えのタイミングを見逃してしまったり、植え替え自体を忘れてしまったという方も多いのではないでしょうか?
そういう私も、アガベの植え替えを忘れて鉢から抜けなくなって困ったことがあります。
この記事では、その抜けなくなったアガベを何とか鉢から抜いて鉢増し作業した経験を紹介したいと思います。
鉢から抜けなくなったアガベをお持ちの方、この記事の内容が少しでも参考になりましたら幸いです。
【注意】本記事で紹介する内容は、筆者の経験を元に作成したものです。すべてのアガベに最適な方法とは言えない可能性があります。この記事の内容を参考にされる場合には、あくまでも自己責任でお願い致します。
本記事で紹介する鉢から抜けなくなったアガベ「雷神」
最初に、本記事で紹介する「鉢から抜くことが困難になったアガベ」の写真です。
品種はアガベ「雷神」です。
まずは、この写真をご覧ください。
アガベが大きく育ち、アガベの直径が鉢よりも大きくなっています。
アガベを鉢から抜く有名な方法として、「鉢の縁をトンカチで軽く叩きながら抜く」というものがあります。
しかし、今回のアガベの場合、鉢の縁が多肉の葉で覆われているため、トンカチを使って鉢の縁を叩くことができません。
さらに、鉢の形状を見ていただくと、鉢の上の部分の直径が小さくなっていて、そもそも植物を鉢から抜きにくい形状のものであることがわかるかと思います。
この2つの点が、アガベを鉢から抜くことを困難にさせている理由です。
このアガベを植え付けた時の写真もあったので、次の写真で載せておきます。(2年半前の写真です。)
ずっと、「鉢増ししないといけないなぁ…」と思っていたのですが、結局行動に移せず、アガベが成長して鉢から抜けない状態になってしまったのでした。
そもそも、植え付けた当初の時点で、少し鉢が小さいような印象もありましたね…。
ここからは「このアガベをどのようにして鉢から抜いたのか?」という内容で、記録として残しておきたいと思います。
【手順①】古い下葉を切り落とす
まず最初に、アガベを抜くためには、培養土をほぐさないといけません。
植え付けてから2年半が経過しているので、培養土も固くなっていことが容易に想像できます。
そのためには、培養土の表面を露出させないといけないのです…。
そこで、アガベの下葉を切り落としていくこととしました。
多肉の葉は引っ張っても切ることができないので、刃物を使って切っていきます。
アガベ専用のナイフもありますが、私は消毒したカッターナイフを使っています。
次の写真のように、下葉は少し元気がないものも多かったので、それらを中心に切り落としていきました。
そして下葉をどんどん切り落としていくと、重要なことが2つも判明しました。
次の写真を使って説明します。
一つ目は、古くなった葉が枯れ落ちて茶色い状態で培養土の上に積もっていました。
見るからに不健康そうな状態ですよね…。
二つ目は、成長の止まった元気が無い子株が出てきたことです。
アガベの葉が鉢の上までびっしりと敷き詰められていたことで、せっかくの子株が外に出てこれなくなった状態だったのです!
日光も当たらなかったことで、色も白っぽくモヤシのような状態…。
アガベ「雷神」は比較的子株が出やすいと聞いていたのですが、「うちの雷神はなかなか子株が出てこないなぁ…」と密かに感じていました。
子株が出てこないのではなく、子株が外に出てこれない状況を作り出していたのだとわかりました。
アガベは成長が遅い植物ですが、適切な鉢増しは必須だと感じさせられた瞬間でもありました。
アガベの子株が出てこないとお悩みの方、鉢のサイズや株の状態をしっかりと確認した方が良いかもしれません。
最終的に、次の写真に示す通り、枯れた葉も含めて約30枚の葉を切り落としました 。
【手順②】土の表面が見えたら割り箸で土をほぐす
下葉を切ったことで、ようやく培養土の表面が見えてきました。
その状態が次の写真となります。
下葉だけを切り落としたので、ちょっと不格好なアガベになってしまいましたね。
(ただ、植え替えればその点は解決するので問題なし。)
さて、ここからが第二ラウンドです!培養土をほぐしていきます。
培養土をほぐすときには、私はいつも割りばしを使っています。
割りばしくらいの太さが、ちょうどいい太さで使いやすいです。
割りばしでつつきながら培養土をほぐし、なるべく根を切らないように掘り進めていきます。
培養土を掘り進める ⇒ 少し株を引っ張って抜け具合を確認 ⇒ 再び掘り進める、という作業を繰り返していきます。
【手順③】根を切らないようにアガベを鉢から抜く
培養土をほぐす作業と格闘すること約10分…。
ようやく鉢から抜けるくらいまで培養土をほぐし終えました。
そこからゆっくりと株を引っ張って鉢から抜いていきます。
そして鉢から抜けたアガベの状態が次の写真です。
立派な根を持ったアガベに成長してくれていますね。
根の張りがしっかりとしていて、鉢のサイズが合っていないことが容易に見て取れます。
ひとまわり大きな鉢に植え替えました
無事にアガベが鉢から抜けたことで、念願の鉢増しができます。
今回の教訓をいかして、鉢の上部の直径が大きなものを用意しました。
植え替えた後の状態が次の写真です。
これだけ広々とした状態なら、1,2年は大丈夫なのではないかと思います。
下葉を切り落とした部分は、地中に埋めてしまうことで見栄えが良くなります。
この株は少し葉が徒長している状態になりますが、多分日当たりの問題だと思われます。
今後は、朝から晩まで日の当たる場所で管理し、美しい姿のアガベ・雷神になるようにお世話を続けていきます。
植え替えてから1ヵ月後に子株の成長を確認!
さて、植え替えを行った際、子株が出てきていたことを上でも紹介しました。
この子株が気になり、切り落とさずにそのまま親株につけた状態にしておきました。
そしたら、植え替えから1か月後に、子株の色が緑色に変化し、成長していることが確認できました。
下の写真の中で、矢印で示している部分になります。小さな子株が顔を出しているのがお分かりいただけるかと思います。
植え替えをしたことで、株が充実するとともに、子株の成長もリスタートしたものを考えられます。
この記事の終わりに -アガベの鉢増しは重要なお世話-
この記事では、鉢から抜けなくなったアガベ「雷神」の状況を紹介し、どのように鉢から抜いたのかを詳細に紹介させていただきました。
鉢の直径よりも大きく育ったアガベは、鉢の縁をトンカチで叩くという作業ができないため、鉢からは簡単に抜けません。また、今回は鉢の形状も悪く、本当に抜きにくい状況になってしまっていました。
その状況を打破するために、最終手段として下葉を切り落として鉢から抜くという方法を採用しました。
その結果、アガベは無事に抜けたのですが、鉢の中から成長が止まった子株が出て来たり、枯れ落ちた葉が堆積している状況という悪い育成環境であったことも明らかになりました。
アガベは成長が遅いため、鉢増しのタイミングを忘れてしまいがちになります。
しかし、アガベの成長に合わせた鉢に変更しないと、今回紹介したような様々なデメリットがでてきます。
皆様も、アガベの鉢の大きさには十分注意してくださいね!
適切なタイミングで鉢増しを!
それでは。