冬が終わりに向かい、少しずつ春の訪れを感じるようになる2月中旬。
寒さに負けずにクリスマスローズが一斉に開花し、鉢植えや庭に一足早く春の訪れを告げてくれます。
クリスマスローズが大好きな方にとっては、待ちに待った季節ではないでしょうか!?
2月はまだまだ寒い時期になりますが、株元から鮮やかな緑の葉と可愛らしい蕾を上げてくる姿は、他のガーデンプランツには無い特徴で、唯一無二の存在と言えますよね!
そんな初春のクリスマスローズのお世話ですが、美しい花を楽しんだ後に、花柄摘みを行うだけで大丈夫とお考えの方も多いのではないでしょうか?
しかし、クリスマスローズの株全体を確認してみると、葉の混み具合にも注意しておくべき時期にもなります。
この記事では、初春のクリスマスローズの管理として、株元の葉に着目した注意点を御紹介したいと思います。
春のクリスマスローズは株元の葉が密集している場合がある
春のクリスマスローズのお世話と言うと、皆様は何を思い浮かべるでしょうか?
多くの方が挙げられるのは「咲き終わった花の花柄摘み」ではないかと思います。
咲いた花を放置しておくと種を形成してしまうため、株に負担がかかります。
そのため、早めに花柄摘みを行うのが春のクリスマスローズの基本作業であるということを本やインターネットでご覧になったことがあるのではないでしょうか?
そして、花後の花柄摘みが終われば、春の主なお世話は完了と考える方も多いのかと思います。
しかし、クリスマスローズの株全体を見渡してみて下さい。
全てのクリスマスローズがそうであるとは断言できませんが、下の写真の様に、株元が葉で覆われてしまっている株があるかもしれません。
上の写真で、オレンジ色の矢印で示した部分を見ていただくとわかると思いますが、株元に葉が密集してしまっています。
これらの葉は、初春に伸びて来た新しい葉では無く、昨年の秋から冬にかけて発生した古い葉になります。
春の新芽や花芽はぐんぐんと伸びて背が高くなりますが、これらの古い葉は成長が止まっているため株元を覆ってしまっている状態です。
このような状態のクリスマスローズが、皆様のガーデンにもあるかもしれません。
春に株元の葉が密集してしまう原因は?
上記の様に、初春のクリスマスローズの株元で葉が密集してしまう理由は何なのか?
その理由の一つは、秋から冬の間に伸びた葉は、背丈がそこまで伸びないためであることです。
秋のクリスマスローズのお手入れの一つとして、古い葉を切り落としてしまうという作業があります。
これは古くなった葉を一新して、新しい葉を発生させるための作業になります。
しかし、秋に葉を切り落とした場合、すぐに寒い冬が訪れるため、立派な葉を発生できないままに春を迎えてしまう場合があります。
この場合、背丈の低い葉だけが残るため、株元の葉が密集してしまうのであると思われます。
実際に、上の写真で紹介したクリスマスローズの株元にあった葉を切り落としてみると、次の写真の様な状態でした。
クリスマスローズの葉は、一般的には細長い茎が伸びて、その先端に大きな葉を付ける特徴があります。しかし、上の写真の葉には茎がありませんでした。
茎が伸びなかった結果、株元に葉だけが密集してしまう状態になっていました。
株元の葉が密集するデメリット
基本的に、植物の葉は光合成を担う役割を持つため、適度な枚数の葉があることが望ましい状態になります。
葉が多い方が、光合成で作り出される養分が多くなりますからね!
しかし、葉の数が多くなり過ぎると、デメリットが生じる場合も多々あります。
クリスマスローズの場合にも同様で、葉が多すぎる場合には、例えば、以下の2つのようなデメリットが生まれます。
風通しが悪くなるため土の乾湿を妨げる
一つは風通しの問題ですね。
ガーデニングの基本としてよく耳にするのが「風通しを良くする」ということですが、これはクリスマスローズにとっても言える大切なポイントです。
基本的に植物の栽培は土の乾湿にメリハリを付けることが重要で、いつまでも土が湿っている状態になることは避けなければなりません (根腐れの原因になる) 。
上で紹介した様に、クリスマスローズの株元に葉が密集している状態になると、土の表面を完全にカバーしてしまうため、土が乾きにくい状態を作り出していることになります。
葉が日光を遮るため土の表面に日光が当たりませんし、通気性も悪いとなると、常にジメジメした状態になってしまうのは容易に想像が付くかと…。
虫やナメクジの発生の原因となる
もう一つは、株元の密集した葉を放置しておくと虫やナメクジの温床になってしまう可能性があるということです。
初春であれば、まだ虫たちの活動が本格的にはなっていませんが、それでも活動が早い虫たちは居心地の良い場所を求めて活動を開始します。
上の写真で紹介した、株元に葉が密集したクリスマスローズですが、葉の裏を確認して見るとダンゴ虫たちがたくさん集まっていました。
ダンゴ虫は少し湿った場所を好む習性があるので、湿気の多いクリスマスローズの株元が居心地の良い場所だったのだと思います。
季節が進んで春から梅雨時期になると、ヤスデやナメクジなども出てきますので、初春の段階から対策をしておくことがお勧めですよ!
新しい葉の芽吹きを確認したら古い葉を透かし剪定する (実例で紹介)
さて、初春に株元の葉が密集してしまっているクリスマスローズを見かけたら、どうするべきか!?
簡単です!!
葉の整理をしていきましょう!! 透かし剪定を行います!!
密集している葉を切り落として、株元の風通しを良くしてあげる作業です。
ただし、新しい葉が発生していることを確認した後で作業を進めていってください。
春に発生した新しい葉が全く無いのにも関わらず、株元の葉を切り落としてしまうと、そもそも光合成する葉が無くなってしまうので…。
以下では、実際に私が行った作業について、写真と共に作業内容を紹介していきたいと思います。
まず最初の写真は、上でも紹介した地植えのクリスマスローズになります。
次の写真が、葉の整理前後を比較したものになります。
葉の整理前の写真を見て分かる通り、多くの新しい葉 (黄緑色の若々しい葉) が発生しています。この新しい葉を残すようにして、株元に生えている古い葉を切り落としていきます。
葉の整理後の写真を見て分かるように、株元に生えていた古い葉を全て除去したことで、株元の土に太陽光が当たるようになり、かなり風通しも良くなっています。
写真を見比べてみると、葉を整理した後の方が、確実に健全な状態と言えますよね!
そして、次の写真は鉢植えのクリスマスローズの例です。
地植えのクリスマスローズだけでは無く、鉢植えのクリスマスローズでも同じように株元の葉の密集は起こります。
下の写真に示すように、葉を整理する前は、鉢植えの土の表面が全く見えない状況でした。
古い葉を整理したことで、土の表面が表出していることが分かるかと思います。
これだけ透かし剪定を行ってあげれば、夏の半休眠期にまでは、健全な状態で生育してくれることでしょう!
【追記】上で紹介した鉢植えのクリスマスローズですが、透かし剪定を行った1週間後の様子が次の写真となります。
透かし剪定を行った結果、新しい葉を芽吹かせる力も強くなり、一気に葉が芽吹いていることが分かりますね!
暖かくなる春は、透かし剪定を行うことで、これだけ芽吹きに違いが出てくるんですよ。
透かし剪定で葉を切り落とす際に注意しておきたいこと
クリスマスローズの透かし剪定で葉の整理を進めていく上で注意しておきたいことが2つあります。
一つは上でも記載しましたが、葉を切り過ぎないことですね。常識的な範囲内で透かし剪定は行ってあげて下さい。
もう一つは、葉を切る時の位置です。
クリスマスローズの茎の部分を切る時、株元ギリギリのところで切るのではなく、下の写真の様に少し茎を残すような感じで切り落とします。(オレンジ色の矢印で示したように茎を少し残す。)
株元ギリギリのところで切り落とすと、土の表面に近い位置に切り口が来ます。
すると、運が悪いと細菌が株内に侵入してしまう事もあります。
それを防ぐために、少し高い位置で切り落とすようにします。
これは本記事で紹介している初春の葉の整理時だけではなく、秋の葉の整理や花柄摘み等、年間を通じて実践すべきことかと思います。
この記事の終わりに
この記事では、春のクリスマスローズのお世話の一つである「株元に密集した葉の整理」を紹介させていただきました。
春のクリスマスローズは、花の鑑賞と花柄摘みにばかり気を取られがちですが、株全体を見渡すと葉の整理が必要になっている株が意外と多くあります。
株元の風通しが悪くなると、土の乾湿のメリハリが付きにくくなるだけでなく、害虫の温床にもなり得ます。
4月以降になると気温がぐんぐん上昇して、多くの虫たちが活動期を迎えるので、その前にしっかりと対策をしてあげてください。
では!