薔薇を育てている方にとって、春は待ちに待った一番花の開花の季節です。
寒い時期の「冬剪定」や「寒肥」、初春の「芽出し肥」に「芽かき」など、各種のお世話を完了し、やっと咲いた薔薇は咲かせた人にとっての御褒美と言える存在かと思います。
春の花は様々ありますが、薔薇はお世話が大変な植物 (花木) になりますので、咲かせた時の喜びは他の草花とは比にならないのではないでしょうか?
我が家の薔薇達も、春の開花の季節を迎え、早咲きの品種から順に開花を迎えております。
世の中の情勢がどうであれ、毎年咲いてくれる薔薇は不変の園芸の楽しさを感じさせてくれます。
そんなことを思いながら、今年の一番花を眺めていたのですが、ちょっと気になることがあったので調べてみました。
今回は「平均気温」と「薔薇の開花日」についての話題を取り上げたいと思います。
一番花を見ながら、ふと思ったこと…
毎年、一番花の季節になると、毎朝のように花壇に足を運び、蕾の様子や害虫・病気の状態を確認してしまいます。
そして、徐々に開いてくる大輪の薔薇を見ると、冬からやってきた大変なお世話の苦労が報われる…そんな瞬間です。
2021年、我が家で一番最初に咲いた薔薇は、深紅の薔薇の「イングリッド・バークマン」でした。薔薇の殿堂にも選ばれているとても有名な赤い薔薇です。
私が育てている薔薇の中で、毎年比較的早く咲いてくれるのが、このイングリッド・バークマンとブルームーンの2品種です。
ですので、我が家では、この2品種が春の一番花の訪れを知らせてくれる「標本薔薇」になっています。
今年も無事に咲いてくれて、その姿を眺めていたのですが、ふと思ったことがあります。
「一番花の咲く時期は毎年少し異なるけど、何の影響を受けているのだろうか?」
とても些細な疑問ではあるのですが、理系の私からすると、かなり気になることだったので調べて見ることにしました。
薔薇の開花は気温と大きな関係があるのは事実
薔薇を育てている皆さんであれば御存じかと思いますが、薔薇が開花するのに要する時間は、気温と強い関係がありますよね。
一番わかりやすいのが夏の暑い時期の薔薇です。
春の薔薇は3月初旬に芽吹きが始まって4月後半くらいに開花するのですが、夏の時期には成長が早い品種であれば10日から2週間くらいで蕾が出てきますよね。
気温が高くなれば高くなるほど、蕾が直ぐに出てくるようになる…つまり気温と開花の時期には強い相関関係があるはずです。
そこで、今回は2019年から2021年の3年間について、3月と4月の平均気温を調べてイングリッド・バークマンとブルームーンの一番花の開花日との関係を調べてみました。
毎年、一番花の写真をスマホで撮影しているので、2019年から2021年の開花日は記録に残っております。
そして、平均気温については、気象庁のデータベースにある各月の平均気温を参照させていただきました。関西圏の我が家の周辺の平均気温となります。
その開花日と平均気温のデータを比較してみたいと思います。
3月の平均気温と一番花の開花日の関係
まず最初に、3月の平均気温と一番花の開花日の関係を紹介します。
下のグラフがその結果となりますが、グラフの見方を以下で詳しく説明します。
まず、黒い折れ線グラフが3月の平均気温となり、右側の軸を使ってグラフを作っています。
そして、赤い折れ線グラフがイングリッド・バークマンの開花日、青い折れ線グラフがブルームーンの開花日となっており、これらのデータは左側の軸を使っています。
このグラフからわかる通り、平均気温は2019年から2021にかけて約1.5℃上昇しているのですが、それに伴ってイングリッド・バークマンとブルームーンの開花日が早くなっていることが分かります。
これは明確に薔薇の開花日が温度に依存していると言えるのではないでしょうか?
では、次に4月の平均気温と一番花の開花日の関係を見ていきたいと思います。
4月の平均気温と一番花の開花日の関係
上で説明したのと同じグラフの作り方で、4月の平均気温と一番花の開花日の関係をグラフ化してみました。
その結果が下のグラフとなります。
この記事を投稿しているのが2021年4月24日になるので、2021年4月の平均気温は4月1日から4月24日までの平均気温となっている点にご注意ください。ただし、4月25日以降は気温が高くなっていくと予想されるので、2021年4月の平均気温は上のグラフで図示している点よりも、さらに高い平均気温になると思われます。
では、実際の結果を見ていきたいと思います。
実は4月の平均気温には、薔薇の開花日と強い相関があまり見られませんでした。
2020年は4月の平均気温が少し下がっているのですが、薔薇の開花日が遅くなるという傾向にありません。
ただし、2021年については、4月24日の段階での4月の平均気温が高いので、開花日が最も早い日付になっていますね。
3月と4月の平均気温と開花日の関係を考察
上記の通り、3月と4月の平均気温と薔薇の開花日の関係を紹介させていただきました。
明確にわかることは3月の平均気温が薔薇の一番花の開花日に強い相関があるということです。
考えてみると、薔薇の成長速度って3月が最も速いんですよね。
私が過去に書いた別の記事で薔薇の成長速度を測定したことがあるのですが、この記事に記載の結果からも、明確に3月の成長が速いことがわかっています。
つまり、薔薇の成長速度が最も速い3月の平均気温が高いということは、3月の平均気温が薔薇の開花を促進する起爆剤になっているということではないかと思います。
3月の平均気温が高いと早く新芽を成長させることができるため、それだけ早く蕾を形成する準備が整い、開花に至るのが早くなるということです。
近年は温暖化の影響により、日本の平均気温が上がっているのは事実です。
その影響は夏だけでは無く、確実に春の平均気温にも影響が出ているのだと思われます。
2021年の開花は少し早いなぁ…と肌で感じたのですが、データを見直してみると確かに開花が早くなっていました。
2019年と比較して2021年は、わずか1週間早く咲いただけですが、薔薇達は平均気温の上昇を明確に感じ取っているのかもしれませんね。
この記事の終わりに
この記事では、3月と4月の平均気温と薔薇の一番花の開花日を調査した結果を紹介させていただきました。
実際に開花日と平均気温の関係を調べてみたのですが、3月の平均気温が薔薇の開花日に強く影響していることがわかりました。
毎年、薔薇の一番花の季節になると、薔薇が咲いたことに舞い上がってしまいます。
しかし、今回の結果を見ると、薔薇の開花時期という観点からも地球温暖化の影響が見て取れるのかもしれません。
2019年から2021年という短い期間でのデータでしたが、来年も開花日と気温の関係を気にして栽培をしてみたいと思います。
気温が高くなり過ぎると、薔薇の花はサイズが小さくなり、色が大きく変化してしまう可能性もあります。
春の薔薇は一年で最も綺麗な花を咲かせてくれますが、春の気温上昇でその姿が見れなくなることにはならないで欲しいと願うばかりです…。
薔薇の開花日の変化から地球環境を考えさせられた日でした。では!