薔薇の栽培を楽しんでいる皆様に言えることだと思いますが、毎年のようにお家の薔薇の株が増えているのではないでしょうか?
もちろん、私もそうですが…。
毎年新苗や大苗のシーズンになると、薔薇のカタログやインターネットの情報を見て、次はどの薔薇を家に迎えようか考えてしまいます。
そして気付くと、置き場に困る状況で、株の整理が必要になるという…。
薔薇の株を増やしすぎてはいけないと理解しているはずなのですが、何故なのか新しい薔薇の購入を止められなくなってしまうことが多々あります。
なぜ薔薇の株は集めたくなってしまうのでしょうか?
この点について、個人的に思うことを紹介していきたいと思います。
私の独り言的な記事ですので、もしお時間があれば、最後までお付き合いいただけると幸いです。
薔薇の株を増やしてしまう理由と心理
早速ですが、薔薇の株を増やしてしまう理由や心理とは何なのか?
個人的に感じる事・考えている事を記載していきたいと思います。
理由① 稀少性・コレクション性が高いこと
まず最初に薔薇は稀少性が高い品種があるという点が挙げられます。
薔薇は長い育種の歴史の中で、非常に多くの品種が世に送り出されてきました。その中には入手自体が難しい株もあり、常に入手・購入できるわけではありません。
気に入った薔薇を育ててみようと思っても販売されていなかったり、人気の品種は予約の時点で売り切れになっていることもあるくらいです。
また、園芸業界における薔薇の市場規模は、そこまで大きな市場ではありません。ホームセンターに行けば必ず手に入るというわけでは無く、マーガレットやガーベラなどの様に年間を通じて流通しているわけでもありません。
さらに、薔薇苗を生産している会社さんも限られており、薔薇苗の生産量が多いわけでもありません。
そのため、薔薇苗の市場規模の観点でも、入手が困難となる品種が存在し、稀少性が増してしまうこともあります。
薔薇愛好家の皆さんは、欲しい品種に出会った時やインターネット販売で入手ができる時には「今買わないと!!」という気持ちになってしまうのではないでしょうか?
また、薔薇にはコレクション性もあります。
例えば、私は河本バラ園さんの薔薇が好きなのですが、河本バラ園さんにはヘヴンシリーズと言うシリーズがあります。
そのヘヴンシリーズには「ガブリエル」や「ルシファー」などの大天使の名が付けられた品種があります。「ガブリエル」をお迎えしたら次は「ルシファー」を…そして「ウリエル」も…とコレクションしたくなるんです。
収集癖の強い方ほど、薔薇の稀少性やコレクション性に心を動かされてしまうんですよね。
収集癖の強い人? はい、私です…。
理由② 咲かせた時の喜びと達成感が大きい
薔薇の栽培を楽しむ上で一番の喜びが開花のシーズンです。
薔薇は年間を通じて様々なお世話が必要ですが、そのお世話を頑張った人だけが味わえるのが薔薇の美しい花です。
一度、大輪の薔薇を咲かせると、他の花には無い豪華さや美しさを知ってしまいます。
すると、次にはこの品種の薔薇を咲かせてみたい…その次はこちらの品種…というように、咲かせてみたい薔薇の品種がどんどん増えていきます。
私自身も、最初は薔薇の殿堂入りしているイングリッド・バークマンという薔薇から薔薇栽培をスタートさせました。深紅の美しい薔薇を見たら、次々に欲しい品種が出てきてしまい、毎年のように薔薇苗を購入するようになってしまいました。
そして、薔薇を咲かせたときの鼻の美しさだけでは無く、その薔薇を咲かせたという「達成感」はとても大きいです。
薔薇は花の女王と言われますが、確かにその通りで、花を咲かせたときの満足度は他の花の比になりません。
その達成感があることも、薔薇を集めたくなる理由の一つかと思います。
理由③ 毎年新しい品種が登場すること
薔薇は、毎年新しい品種が誕生し、世の中に送り出されます。
多くの新作の中から選び抜かれた薔薇のみが、生産者の方から私たちの元へと届けられます。
有名な育種家さんの新作は予約しないと購入できないことも多々あります。
私も欲しいと思った新作の薔薇が予約できず、次の年まで待ったことがありました。
また、近年作出されている薔薇は、耐病性が高く手が掛からない品種も多くあります。そのような品種で人気となれば、手に入らないことがあるのも納得できます。
このような背景も、薔薇苗を早く集めたくなってしまう心理を増幅しているのかと感じます。
薔薇の株を増やした場合のデメリット
薔薇の品種を集めてしまうのは良いのですが、集めすぎると大変なことになりますよね…
経験者の方は分かるかと思いますが、集め過ぎなければよかった…と後悔を感じることもあります。
ここからは、薔薇の株を増やしすぎたことによるデメリットについても記載しておきたいと思います。
庭や玄関が鉢だらけになり見栄えが悪い
一つ目のデメリットは、家の周りや庭が鉢だらけになってしまう事です。
広い庭で地植えで薔薇を楽しむ場合には良いのですが、限られた空間で薔薇を栽培するとなると、鉢植えでの栽培が基本になります。
鉢植えで薔薇を育てると、どんどん鉢の数が多くなり、見栄えが非常に悪くなります。
私がよく通る道にも、薔薇を集めている方がおられるのですが、家の周りが鉢とオベリスクだらけになっているお家があります。
しかも、半分くらいは薔薇が枯れてしまっている状況なんですね。薔薇を集め過ぎて管理しきれなくなった状態だと言わざるを得ないです。
薔薇の鉢に限らず、家の周りにプランターをぎっしりと置かれている方もいらっしゃいますが、決して見栄えが良いものではないと思います。
やはり鉢植えの数も適量が良いですよね。
例えば、玄関の大きさにも依りますが、玄関回りには2鉢か3鉢くらいが良いと思います。
お世話が辛くなり…栽培が破綻する
次に考えるべきはお世話の大変さです。
上でも枯れた薔薇が並んでいるお宅の話をしましたが、薔薇の株が増えれば増えた量に比例して、お世話する時間と労力が必要になります。
薔薇の株は3株くらいであれば、お世話の時間や労力は特に気になりません。
しかし、5株~6株を超えたあたりから、だんだん作業にしんどさを感じるようになり、10株を超えるとお世話の作業を2日に分けて行おうと思うようになります。これは、私の実体験に基づく所感です。
薔薇を始めた当初の3株くらいの時は、薔薇のお世話は「楽しみ」の一つでした。しかし、薔薇が10株を超えてからは、お世話は楽しみでは無く「一種の義務」のように思えてきました (笑) 。
以前、テレビの番組で薔薇愛好家の方が「私は薔薇の召使です」という表現をされていましたが、本当に共感できてしまう表現だと思いましたね。
薔薇が美しく咲くようにお世話をしてあげる…まさに薔薇の世話人と言う感じです。
愛好家の方の中には、御自宅で100株以上の薔薇を育てる方もいらっしゃいます。サラリーマンの私は、そこまで薔薇を増やしたら、毎週末が薔薇のための時間になってしまい、栽培が破綻しそうな気がします…。子供にも怒られそうですね…。
100株もあったら、病害虫を防ぐ農薬の散布や肥料の量が、趣味の域を超えてしまうようにも思います。
虫 (蜂やコガネムシ) が多く飛来する
人が薔薇を好きなように、虫たちも薔薇が大好きです。
甘い香りに誘われて、コガネムシや蝶が飛来するだけでは無く、薔薇につく虫を食べるためにスズメバチやアシナガバチもやって来ます。
想像が付くかと思いますが、薔薇の数が増えれば、家の周りで虫を見る回数が格段に増えます。
私の家の場合には、薔薇の株が増えると共に、アシナガバチとコガネムシの飛来する数がかなり多くなりました。
春先には越冬したアシナガバチの女王が飛来し、夏になるとアシナガバチの働き蜂が多く飛来します。そして、梅雨時期からはコガネムシの飛来数が増えていきます。
虫が苦手な方にとっては、薔薇に付く虫に苦戦することは間違いないです。
株が多くなれば多くなるほど、虫の飛来数が増えるので、虫嫌いな方は株の数の制限も考えていかねばなりませんね。
薔薇の株を増やさないための対処方法は?
「薔薇の株を増やさない方法」
「新たに薔薇を購入しなくても済む方法」
「薔薇の購入と言う欲求を抑制する方法」
これらの方法があったら、とっくにやっていると思います…。
それができないから薔薇の株が増えてしまうんです…。
しかし、新しく薔薇を購入することは防げなくても、株の数を制限することは可能だと思います。
それが「断捨離」です。
家にお迎えした薔薇で、大切に育ててきた薔薇であることは理解できるのですが、健全に成長しておらず弱ってしまっている薔薇や、回復の見込めないような薔薇はお別れをすることを考えるべきだと思います。
家の中の片付けもそうですが「1年使わなかったものは処分を検討する」ということを心掛けると、実は私生活に影響が無く処分することができたりします。
薔薇の株も同じで、元気のない株や病気が頻発するような株とはお別れをすることも選択肢の一つだと思います。
私自身もこれまでに、10株くらいの薔薇とお別れしています。
花の数やベーサルシュートの数などを総合的に判断して、お別れすることができる薔薇を決めています。そして、新しく薔薇苗を購入したら、その元気の無い薔薇を処分するように心掛けています。
もちろん、全ての株が元気に成長しており、断捨離出来ない年もありますけどね。
時には心を鬼にすることも、薔薇栽培には必要だと思います。
この記事の終わりに
この記事では、薔薇を集めてしまいたくなる衝動について、私の思うところを書かせていただきました。
薔薇は一度育ててしまうと、その花の美しさや、咲かせたことの達成感に魅了されることは間違いありません。
他の草花には無い魅力があること、その花を努力して咲かせてみたいと思うからこそ、薔薇は花の女王と呼ばれるのだと思います。
この記事を書きながら、私は春の新苗は何をお迎えしようかと迷っております…(笑)
今年の新苗は何にしようかなぁ…。では!