多肉植物の一つとして、近年注目を集めている植物が「アガベ (リュウゼツラン科) 」です。
メキシコやアメリカの乾燥地帯を原産とする特徴的な多肉の葉は、多肉植物好きの方だけで無く、観葉植物が好きな方にも人気のあります。私もアガベが好きで、他の多肉植物と共に栽培を行っています。
別名で「Century plants」と呼ばれるように、成長がとても遅く、長い時間をかけて成長していく品種となります。そのため、家を建てた時や子供が産まれた時などに記念に購入し、時間をかけて育てていくことができるのも人気の理由では無いかと思います。
アガベは品種が多くコレクション性もあることから、希少品種には高額な根が付けられて売買されている場合も多々あります。ただ、1,000円程度で購入できる品種もありますので、初心者の方でも安心して購入・栽培にチャレンジすることもできます。
そんなアガベですが、葉の美しさやカッコよさを引き立たせるには、お気に入りの鉢で育てるのが一番です。購入した当初のプラ鉢では、部屋の中に飾っても味気ないものになってしまいます。
先日、実際にアガベの植え替えを行ったので、その詳細を記していきたいと思います。
アガベはいつでも植え替えできるのか?思い立ったら吉日です
植物それぞれには最適な植え替えの時期があります。
例えば、私が好きな薔薇は12月から1月の間の休眠期が植え替えや鉢増しに最適な時期となります。
球根植物であれば、休眠する夏の時期に球根を土から掘り上げますね!
アガベの場合には、一般的には春が最適な植え替え時期と言われており、秋でも植え替えは可能です。
ただ、最適期があると言えど…購入したら「早くお気に入りの鉢に植え替えたい!」と思うのが人間の欲です。
私自身、様々な植物を育てていますが、植物の植え替えの最適期というものを守ったことがあまり無いような気がします。
今回のアガベも1月末と言う寒い時期に植え替えを行ってしまいました。
植物に植え替えの最適期はあると言えど、植え替えたいと思ったら植え替えてしまっても良いのではないかと思います。もちろん、高価な植物であれば最適期まで待つことも重要かもしれませんが…
私の場合、1,000円から3,000円くらいで入手できる植物であれば、好きな時に植え替えをしてしまっています。
ただし、一応気を付けていることはありまして…
例えば冬であれば温かい時間帯を選んで行い、植え替え後は温かい室内で管理するという最低限の事は行っています。また、調子の悪そうな植物は様子を見ながら行うようにしています。
正直なところ、植え替えようという強い意志がある時に植え替えた方が良いです。3カ月くらい待ってから…という感じで先延ばしにすると、結局やらずに終わってしまう事もあるので…。
植物の植え替えも「思い立ったが吉日」というのが私の考えです。
アガベの鉢は比較的深さがある方が良い
アガベの根を見たことがあるでしょうか?
アガベやハオルチアなどの多肉植物は、根を縦方向に深く伸ばしてきます。
そのため、浅い小さな鉢であると直ぐに根が鉢底に到達してしまう事もあります。
ですので、比較的深さのある鉢を用意したほうが次の鉢増しまでの時間を伸ばせると思います。ただし、あまりにも大きすぎると、根の量に対して土の量が多くなるので、土の中が常に湿っている状態になります。そのため、細長く深い鉢というのが理想だと言えます。
実際に販売されているアガベやハオルチアの鉢も、比較的縦に長いものが使用されている場合が多いですよね!それには上記の様な理由もあるんですよね。
ただし、実際の所を言うと、浅い鉢で育てていらっしゃる方も多くいますので、適切な鉢増しと水やりの管理をすれば、鉢の形状の縛りは小さなものなのかと思います。
室内栽培では土の水捌けを相当良くすること
アガベは冒頭でも記載した通り、メキシコやアメリカの乾燥地帯に自生している植物になります。
そのため、暑さには強い植物です。また、最低気温も5℃以上あれば日本で冬越しが出来るので、暑さと寒さの両方に強い植物と言えます。
そんなアガベですが、最も注意すべきは土の質だと思います。
特に室内で栽培する場合には水捌けの相当良い土を使うようにします。
アガベは乾燥地帯に自生するので、いつまでも湿っているような土は苦手です。空気がしっかりと入ってくれて乾湿がしっかりと付くような土が最適です。
私自身、アガベを室内で栽培しているので、小さな赤玉土を主とした配合の土を使用しています。
もし、自分で土を配合する自信が無ければ、ホームセンターなどに室内の観葉植物の土があるので、それを使うと良いかと思います。
アガベの植え替えを実践 (アガベ 雷神)
さて、少し前置きは長くなってしまいましたが、実際にアガベの植え替えを写真入りで紹介していきたいと思います。
今回の記事で植え替えを行うアガベは「アガベ 雷神 (Agave Potatorum)」という品種です。
アガベの中でも比較的手ごろな価格で販売されているのにも関わらず、とても美しい葉と葉先の赤い棘が象徴的な品種です。
今回は、私が気に入っている下の写真の黒色の鉢に植え替えを行っていきます。
鉢底に鉢底石は敷くべき?
鉢底石は「敷くべき」と言う方と、「敷かなくても何とかなる」と言う方の両方の意見があります。
ただ、素焼きの鉢の様に鉢底に小さな穴が一つしか開いていないような鉢の場合には、鉢底石はしっかりと使用すべきだと思います。
特に、アガベの様に乾燥気味に育てることが重要になる植物の場合には、鉢底石を敷いてあげます。
鉢底に多くの穴が開いているようなスリット鉢であれば、鉢底石を敷くことは絶対では無いのかと思います。
今回の鉢は、鉢底に小さな穴が1つしか開いていない焼き物の鉢になるので、鉢底にはしっかりと鉢底石を敷きました。
ポットからアガベを優しく抜いて根の状態を確認
次にアガベを古い鉢から優しく抜きますが、注意が必要です。
まず最初に、アガベを古い鉢から抜く時には、葉をつかむのではなく、下の写真の様に株の底に手を入れて株全体を持ちあげるようにします。
株元から支えながら、鉢を少しずつ動かして引き抜いていきます。
また、もう一つの注意点は、アガベの根は弱くて脆いことです。
力強く鉢から抜いたり、古い土を無理に落とそうとすると、元気な白い根が簡単に切れてしまいます。そのため、かなり過剰なくらいに優しく取り扱ってあげて下さい。
下の写真が実際に鉢から抜き取った時の写真ですが、上で記載した通り、縦に長い根が張っていることが分かります。この白い根は新しく元気な根になるので、なるべく切らないように新しい鉢に植え付けていきます。これだけしっかりと根が張っているということは、アガベが元気に育っている証拠ですね!
古い土は完全に除去する必要は無いです。簡単に崩れていく部分だけ古い土を除去して新しい鉢に植え付けます。
土が湿っていると古い土を除去しにくいので、土が乾燥してから植え替えを行うのも一つのポイントかと思います。
ちなみに、同じ多肉植物のハオルチアも、同じような根をしていますが、その内容は下の記事で紹介しています。
アガベの株元が鉢の上に出るように土を高さ調整
アガベを鉢に植え付ける時には、葉が鉢の上にしっかりと出ているように植え付けます。
そのため、鉢底石の上に土を入れていき、アガベを鉢の中に入れて高さを調整しながら植え付けていきます。
アガベの葉が鉢の中に埋もれてしまうと、埋もれた部分の葉は徐々に枯れ落ちて腐食していきます。それが原因で病気になってしまう事もありますので、葉が鉢の中に埋もれないように高さの調整は必須です。
アガベの株を鉢の中央に配置して完了!
アガベの植え替えの時には、株を鉢の中央に配置することを心掛けて下さい。
もちろん、株の位置が鉢の中央からずれていても栽培は可能です。
しかし、見た目があまり良くないですよね。
アガベは上から見ると株の姿は円形です。
円形状の鉢に円形状のアガベを植え替えるのですから、中心が揃っていた方が綺麗に見えるのは当たり前です。
是非、アガベの植え替えの際には、鉢の中央に株を配置できるようにしてあげて下さい。植え替え完了から1か月後に「やっぱり直したい…」とならないように。
実際に植え替え完了した状態が下の写真です。この後、水やりをして鉢の中の空気を抜いてあげます。
植え替え後は肥料を与えるべき?
私の考えですが、室内でアガベを育てていると、実は冬の間も少しずつ葉が成長しています。
春や秋に比べると成長速度は遅い様に感じますが、落葉樹の様に完全に成長が止まっている状態では無いように思えます。
植え替えを行った直後は肥料は不要かと思いますが、植え替え完了から10日くらい経ったら、少量の緩効性の置き肥を使用しました。
アガベやハオルチアなどの多肉植物は、あまり必要を必要としない植物になるので、与え過ぎは逆効果です。肥料焼けを起こしてしまわないように、かなり少ない肥料で管理していく必要があります。
私自身ですが、ハオルチアやアガベには、2カ月に1度だけ緩効性肥料を少量与えています。それ以外は水やりのみです。
この記事の終わりに
本記事では、人気の多肉植物である「アガベ」の植え替え方法について、実際の作業の写真を交えながら紹介をさせていただきました。
植え替えの作業は少し面倒な作業ですが、購入した時のプラ鉢ではインテリア性が無いので、是非お気に入りの鉢でアガベを育ててみませんか!?
アガベは多くの品種があるので、お気に入りの品種を探すのも楽しいです。
また、長い年月をかけてゆっくり育つ植物でもありますので、何かの記念日にアガベを家にお迎えするのも良いですね!
是非、お気に入りの鉢でアガベ栽培を楽しんでみて下さい。